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暦(こよみ)は「政治」と「宗教」と不可分である件 フランス「聖人の日」で考える

▼暦というものは政治と宗教と骨がらみである件について。

暦文協のカレンダーの、4月の紙の右上のコラムから。〈フランスの郵便局カレンダー〉について。適宜改行。

〈19世紀後半から発行されているもので、フンラスのカレンダーの定番とも言える。電話機や冷蔵庫の近くに置かれることが多い。日ごとの聖人名が記されているだけでなく、地図、電話市外局番、地下鉄路線図など便利な情報が載っている。

聖人名と同じ名前を持つ人は、誕生日とは別に、その聖人の日にプレゼントをもらう風習がある。それは一般にネームデー(name day)と呼ばれ、ヨーロッパでは広く行われている。

フランスでは1970年頃を境にスラブ系、ケルト系、アラブ系などの名前が加えられるようになった。例えばスラブ系のボリスやライサにはそれぞれ5月2日と9月5日が当てられ、スコットランドに多いドナルドは7月15日である。アラブ系の名前であるラリッサは3月26日、ジタは4月27日である。

これは外国人の増加に対応した融和的な措置であると考えられている。というのも、1968年の「5月革命」で知られる大学生による反体制運動はパリのカルチェ・ラタンに解放区を築き、硬直した規制社会を厳しく批判した。それが1970年代になって越境者や定住外国人に対する態度を軟化させたとみられているからである。

▼ここで書かれていることも、前回紹介した、ラマダーン(断食月)の日取りが肉眼で決められることと同じく、まったく知らなかった。フランスが移民社会になっていった現実が、身近なカレンダーに反映されているわけだ。

▼「令和30年」には、昨年の安倍政権による「移民」受け入れ拡大で日本に移住する子どもたちが立派な大人になっている。その時、日本社会はどうなっているのか。今とはまったく異なる社会になっている可能性が高い。

「令和」という元号の公的な説明はとても内向きなものになったが、「平成」から「令和」にかけて、少なくとも人種の多様性は高まるだろう。

東京オリンピックという一過性のお祭りが「終わった後」のことを考えて動いている人に、マスメディアは取材を重ねてほしい。

(2019年5月3日)

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