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図説 龍とドラゴンの世界 (遊子館歴史選書 6)


図説 龍とドラゴンの世界 (遊子館歴史選書 6)

 東洋の龍と、西洋のドラゴンについて、解説した本です。
 龍とドラゴンに関する、さまざまな説話や、美術品や、図版を紹介しています。『図説』というとおり、ほとんどのページに絵があるのは、嬉しいですね(^^)

 ただし、西洋のドラゴンについては、少し触れられるだけです。
 東洋の龍、それも、中国と日本の龍について、多く書かれています。事実上、中国と日本の龍の本ですね。
 『龍とドラゴン』という題名からして、この点を、もの足りなく感じる方がいるでしょう。

 また、龍の美術品を解説している項では、著者の主観が、強く入っています。この点に、違和感を持つ方もいるでしょう。

 これらの弱点のため、評価の星―五つ星で満点―を付けるなら、一点減点ですね。

 とはいえ、内容は充実しています。東洋の龍について知りたいなら、本書を読むことをお勧めします。

 特に、日本の龍について、時代ごとに考察しているのは、ありがたいです。このような考察は、なかなかありません。
 日本の龍の図像が、どのように変遷してきたのか、知りたくありませんか? それならば、ぜひ、本書をお読み下さい。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

口絵・華原磬【かげんけい】の龍
はしがき
凡例・資料等協力

第1章 龍の起源・西洋の龍・インドの龍
 龍の起源をさぐる
 龍誕生の地を推理する
 ギリシア神話の神々の龍退治
 中世ヨーロッパの龍伝説
 悪龍を紋章とした西洋の王や騎士

 など

第2章 中国の龍
 『山海経【せんがいきょう】』に登場する龍的な神々
 二匹の龍に乗る『山海経』の神々
 龍身の天地開闢【かいびゃく】神「盤古【ばんこ】」と人類創造の男女神「伏羲【ふっき】」「女媧【じょか】」
 殷・周の遺物に見られる龍文の造形

 など

第3章 日本の先史時代・古墳時代の龍
 縄文時代の蛇の装飾土器
 弥生式土器に刻まれた日本最古の龍
 銅鐸の流水文は蛇から龍へのイメージか
 神獣鏡に見る龍虎と中国神話の神仙
 古墳時代の環頭大刀【かんとうたち】に見られる龍の造形

 など

第四章 古代神話と奈良時代の龍
 日本古代神話の蛇と龍(1)
  素戔嗚尊【すさのおのみこと】の八岐大蛇【やまたのおろち】退治の背景にあるもの
 日本古代神話の蛇と龍(2)
  海神の娘豊玉姫【とよたまひめ】、龍となって子を生む

 など

第5章 平安時代の龍
 平安時代の龍伝説
 空海による神泉苑での雨乞と龍蛇
 平家納経経箱【きょうばこ】の龍と春日大社の火焔【かえん】太鼓の龍
 『鳥獣戯画』に描かれた龍と霊獣たち
 雅楽【ががく】の蘭陵王面【らんりょうおうめん】の龍

 など

第6章 鎌倉時代の龍
 江ノ島で龍の鱗【うろこ】を授かった北条時政
 『華厳宗祖師絵伝【けごんしゅうそしえでん】』の龍
 鎌倉時代の龍の表現
 甲冑【かっちゅう】の絵韋【えがわ】に描かれた龍
 引両紋【ひきりょうもん】と龍

 など

第7章 南北朝・室町時代の龍
 後醍醐天皇に献上された龍馬【りゅうめ】
 龍に頼まれて大ムカデを退治する俵藤太秀郷【たわらのとうだひでさと】
 絵巻物に描かれた龍たち
 『道成寺縁起絵巻』の龍
 伝【でん】大内義隆【おおうちよしたか】奉納の大鎧の龍

 など

第8章 安土桃山時代の龍
 安土桃山時代の龍と海北友松【かいほうゆうしょう】の龍
 毛利輝元寄進の白檀塗【びゃくだんぬり】菖蒲型太刀に描かれた宝珠を握る龍
 蛇信仰と融合した奈良絵本の龍

 など

第9章 江戸時代の龍
 明神が龍蛇を退治した話
 竜巻と龍の昇天
 龍の子・鼉龍【だりょう】・火龍骨
 野守【のもり】という蛇のような怪物に祟【たた】られた話
 遠州桜ヶ池の龍神伝説

 など

第10章 近・現代の龍――龍の死と再生
 河鍋暁斎【かわなべきょうさい】と下条桂谷【げじょうけいこく】の龍
 横山大観の龍
 龍の死と再生

索引



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