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#140字小説 part2
Twitterに投稿した140字小説のまとめ投稿です。
『救援要請』
「しっかりしてるとか、大人びてるとか、そういうふうに言われるのが嫌だ。そうしないと生きられなくてなったのだから、なりたくてなったわけじゃない」
彼女は助けて欲しいときにひとりぼっちでいた子供時代を送ってきたのだろうか。
「僕は今、君に何をしてあげられる?」
彼女は泣き出した。
『再会』
久しぶりに会った君は、昔とは違う表
#140字小説 part1
Twitterに投稿していた140字小説のまとめ投稿です。
『竹の音』
風が木々を揺らして、梢が鳴る。その合間に竹の打ち合う高い音が聞こえてこないかと無意識に探してしまう。林の中で裏手に竹林がある家に生まれたからそれが子守唄だったのだ。
雑踏の中、君が語ったそんな話を思い出している。人々の話す幾千の言葉の中に君の声を探しながら。
『写真撮影』
シャッターを押す。レンズ越しの風景が時間から切
heart of gold
青白い小さな光が瞬いている。顔の横に置いていた折り畳み式の携帯電話が着信を知らせている。着信音やバイブレーションは鳴らない。万が一にもそれで眠っている父親を起こそうものなら携帯電話は壊され、アオイ自身も殴られるだろうことは想像に難くなかった。だからいつも携帯電話は家ではマナーモードのままだった。
父親は隣の居間で眠っているようだった。テレビの音といびきが聞こえる。また酒を飲んでそのままテレビもつけ