塀のない刑務所(大井造船作業場)①
舎房の中は、昼間だというのに薄暗い。
流し台の前に立ち、手を洗いながら鉄格子の向こうに、何気に外に目をやると、五月の陽射しが中庭のアスファルトに照り返し、薄暗さに慣れ切った脳には眩しく、目を細めた。
しかし陽射しは、舎房の中までは届かない。
ここでは立ち上がり、外を眺めているだけで、刑務官に注意を受けるような場所である。
私は、注意されるのも面倒くさいと思い、小さくため息をつきながら、自分の小机の前に座った。
私が居住している舎房は、八畳一間に、私を含む七人の大の