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獄中短歌⑮

あれもしたいこれもしたいと出来ぬ今
   自由な外ではなんにもしないで

ペラペラな薄っぺらな毎日も
   重ねていけばいつかはきっと

手も足も五体満足健康で
   働ける事日々感謝して

白黒やセピア色より色薄く
   我は刑務所の景色の一部

耳鳴りと胸のつぶやき声だけが
   響渡る人屋の静けさ

人屋では作り笑いで自己主張
   譲ったようで譲っておらず

つまらない会話でそれぞれ自己主張
   深夜はいびきで自己主張

頭かくつもらんばかりにフケ落ちて
   週二回の風呂待ち遠し

言わずとも「普通にわかる」と同囚よ
   ここに普通の人はいない

穏やかな心ですべて受け入れて
   昇る陽沈む陽感謝の気持ち


十年以上前に、四年の受刑生活で書いた短歌です。
Twitterに載せたものを十首づつまとめてみました。
併せて「塀のない刑務所」①~⑰も読んで頂けたら幸いです。   

拙い文章ですが、サポートしていただけたら幸いです。