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獄中短歌⑨

あみ持って蝶々追いかけ蝉とって
   はしゃぐ息子といた夏休み

太陽は昇りきっているのにも
   勝手に起きれぬ刑務所の朝

冬の獄ぽかぽか陽射し有難く
   太陽のチカラ改めて知る

獄中で起こる出来事すべて罰
   償いはここを出てから始まる

あれこれとグダグダぶつぶつ思うより
   傷つけた人の痛みを感じろ

誰にでも言いたくはない事がある
   息子にとってのそれはこの父

吾の過ごす何年という年月は
   足跡もなく空白の時間

夢の中妻と並んで町歩く
   変わらぬ笑顔に目覚めて嬉し

舎房から見える小さな空に似て
   私の心も小さい小さい

肩車してやれる季節が通りゆく
   いつ会えるかもしれぬ我が子に


十年以上前に、受刑生活で書いた短歌です。
Twitterに載せたものを十首づつまとめてみました。
併せて「塀のない刑務所」①~⑰も読んで頂けたら幸いです。

拙い文章ですが、サポートしていただけたら幸いです。