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獄中短歌⑤

父さんから電話もないのと 聞かれたよ
   息子が不憫と妻の涙よ

いつか来るスタートラインその日のため
   無駄にはしない今この瞬間(とき)を

ヒーローにライダーになれ元気よく
   祈るしかない日曜の朝

あせらない気持ちを閉じて目を閉じて
   今日を明日につなげよう

息子らが父いなくても変わりなく
   あの頃のまま健やかに育て

今日は明日 明日は明後日その次と
   積み重ねてこそ願いは届く

帰りたい今はもうないあの家に
   妻子の声が響くあの家に

出房時目を閉じて待つそのたびに
   息子ら想い今日も始まり

これくらい いいじゃないかと少しでも
   よぎる時には家族を想え

これ食べる?弱い自分を試すよう
   同囚からの甘いささやき


十年以上前に、約四年の受刑生活で書いた短歌です
Twitterに載せたものを十首づつまとめてみました。
併せて「塀のない刑務所」①~⑰も読んで頂けたら幸いです。

拙い文章ですが、サポートしていただけたら幸いです。