獄中短歌⑬
入浴日妻はまだまだ仕事中
我のみ楽して申し訳なく
免業日ゆるんだ我に喝を入れ
姿勢を正しテレビに向かう
五メートル先までイチ、ニー、行進で
号令無ければ動けぬ我は
白い壁コンクリートの冷たさは
春のぬくもりさえも凍らす
家族らの為に生きろと神様が
私の人生残してくれた
刑庭の暖かそうな春陽射し
冷えた舎房をのぞき込むだけ
これかれの笑顔はあなたにかかってる
姉の手紙が優しく励ます
息子らに会わす顔も資格もない
それでもいつかはと思って生きてる
もう二度と後悔せぬよう懸命に
ほんのかすかな奇跡を信じて
塀の向こう広がる青い空に雲
罪深き我には眩しすぎて
十年以上前に、四年の受刑生活で書いた短歌です。
Twitterに載せたものを十首づつまとめてみました。
併せて「塀のない刑務所」①~⑰も読んで頂けたら幸いです。
拙い文章ですが、サポートしていただけたら幸いです。