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獄中短歌⑩

パソコンも携帯も無い仕事先
   世界で一番遠い場所

お前には関係ないぞと言いたげに
   陽射しが部屋の隅のみ照らす

夜も明けて朝陽も塀を照らすのに
   私の一日まだ始まらぬ

獄にいて私は罪を背負っていない
   家族に罪を背負わせている

息子らの願い事さえ知らなくて
   どこが父だと思う七夕

台風も地震も全て他人事
   私は塀に守られていて

息子らの時の流れは駆け足で
   愚かな父の時は止まりて

この空も流れる雲も吹く風も
   全ては塀の中だけのもの

それぞれに背負っているもの違うよに
   償い方もそれぞれにあり

整列し にーしーろー と数えられ
   我はミカンやリンゴと同じ


十年以上前に、約四年の受刑生活で書いた短歌です。
Twitterに載せたものを十首づつまとめてみました。
併せて「塀のない刑務所」①~⑰も読んで頂けたら幸いです。

拙い文章ですが、サポートしていただけたら幸いです。