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獄中短歌⑫

この瞬間二人の息子は何をして
   何を思って過ごしているのか

子供の日高々と泳ぐこいのぼり
   家族で見上げたあの空想う

春四月旅立ちの季節人屋にて
   息子の成長想い描いて

同囚のトイレの音で目が覚めて
   外は明るくもうすぐ起床

同囚を見送るたびに思うのは
   ホントに我にもその日は来るのか

この中で出来ない我慢は社会でも
   出来ぬと思い毎日我慢

同囚よ何様なのかここは獄
   目くじらたてて怒る事なし

息子らを想えば瞼の奥で会う
   会えて嬉しく涙こぼれる

ラジオから流れるトトロの「歩こう」が
   幼子の声が重なっていく

夏の日の陽射しも風も塀の外
   いつかの夏空妻子を想う


十年以上前に、四年の受刑生活で書いた短歌です。
Twitterに載せたものを十首づつまとめてみました。
併せて「塀のない刑務所」①~⑰も読んで頂けたら幸いです。

拙い文章ですが、サポートしていただけたら幸いです。