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妻恋う鹿は笛に寄る(自作の詩と散文)

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瀬戸内海に面する小都市で暮らし、働きながら詩や散文を詠んでいます。情景を言葉として、心で感じたことを情景にして描くことを心がけています。言葉の好きな方と交流できたらいいなと思って…
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#詩のようなもの

青い蝶

青い蝶

部屋に青い蝶が飛んでいる。偶然に偶然が重なり、縁と縁が結ばれてたどりついた蝶たち。いつでも逃げて行けるように窓を開け放していていも、窓から外へ飛んでいく様子はなく、狭い部屋ながらも居心地良く過ごしてくれているようだ。部屋の隅に青いバラを挿して、白いお皿に砂糖水を吸わせた脱脂綿を置いている。青い蝶たちは時折、蜜を吸っている。結局のところ、私は誰かを幸せにしてあげられる人間ではなくて、気ままな詩人でふ

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解放

解放

何でもない風景に美を見出す君は

幸せそうに微笑む

季節の移ろいの中で美しくなる君は

他に代わりのない存在として溶け込む

いつか私たちは全てを手放し

次の世界へ旅立つ

いつか私たちは傷つく事から解放され

人の弱さを認められる

いつか私たちは希望を見出し

絡まった糸から美しい布を紡ぐ

ひと筋の気泡

ひと筋の気泡

深い沼からひと筋の気泡が立ち昇っていた。魚がいるのかな?こんな汚れた沼にでも魚は棲んでいるんだと木こりは横目で通り過ぎようとしたが、気泡からは何かメッセージ性のようなものを感じた。居ても立っても居られなくなって、異臭すら漂う沼に飛び込んで深く潜った。服やズボンや靴やら全て水分を含み邪魔だったが、木こりの持ち込んだ気泡と立ち昇ってくる気泡が混ざらないように、慎重に潜った。かなり深くて息絶え絶えになり

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僕にしかできないこと

僕にしかできないこと

古くから馴染みある曲を聴きながら、新しいことを考えている夜。キッチンの窓から見える景色が暮れていくのを長い間見つめている。

人を理解するよりも、ニコニコして穏やかに過ごして、否定も肯定もせず信じて寄り添うことが大事なのかもしれない。

いつのまにか日が暮れて、いつのまにか歳をとっている。そんなことがキラキラして貴重なことのように感じる。

僕にしかできないことってなんだろう?

僕は今しているこ

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明るい星

明るい星

明け方、東の空に明るい星

難しい道のりを歩いてきた

身の回りの方たちに繋ぎ止めてもらった命

出会った方たちにかけてもらった言葉の

一つひとつが、私の財産

ひときわ輝く明るい星

苦しかったことも寂しかったことも

闇に包まれて行き先が分からない日々も

いつか明けて、光さす

終焉

終焉

この世に終焉があるとしたら

それは夏の終わり

魂に既視感あり

寂寞としていて、、躯に刻まれている

想い

想い

言葉にならない

想いがあるなんて

なんて素敵なことでしょう

想いは旅して

この胸に宿るとき

わたしは新しい舞台で踊っている

風

見えない何かに守られて

ここに存在する

見えない何かを守って

ここに存在する

それは過去現在未来

遠く及んで形づくる

何にもしてないようでも

私の風は誰かの風になり

誰かの風がまた誰かの風になる

笑顔の朝

笑顔の朝

あなたに出会う為に
迷いはぐれて見失い
ここにたどりついた

あなたに出会う為に
ベストタイミングで
ここにたどりついた

あなたの存在する朝
皆の未来だった今日
くすりと笑顔になる

六等星

六等星

夜空の散歩道に
灯りがともる

薄らと遠くが明るく近くが暗い
専ら清かな夢のよう

車のヘッドライトに
運転手の息吹がこもる

例え独善者でも愛されてきた人
例え毒舌家でも袖擦れ合う人

群青の闇に
星影が映る

一番星見つけた人
この指とまれ

飛行機見つけた人
もう私たち友達だね

一緒に帰ろう
一緒に夕飯食べよう

困ったことがあったらこの電話番号へ
政治家の街宣車が走る

困ったことがあっ

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待つ

待つ

何かを期待して

待つ

そんな人生もいいかもしれない

何かが起こるはずもない

そんなことは当然知っている

だからこそ

誰かの待つ期待に

応えてみたくなる

そんな人生もいいかもしれない

クソ暑い夏の日

クソ暑い夏の日

My wife is the most beautiful girl in the world!

と巻き舌で、スーパーの帰り道に、二人でトイレットペーパーやら、キッチンペーパーやら、きゅうりやら、お味噌やら、買い物袋をいっぱい手に持って、汗まみれで帰っていた時に、田舎の道端で叫んで、妻に苦笑まじりの爆笑されて、卵のパックを落としそうになった、クソ暑い夏の日。

桜に願い

桜に願い

「小さめの短冊に好きな人の名前を人差し指で書くんだよ。指には何もつけずにただなぞるんだ。」

祖母は囁くように良之に話した。

誰にも言ってはいけないよと言いはしないが、そんな無言のメッセージを良之は祖母の語りかける瞳の輝きから感じた。

「そして自分で考えたおまじないを短冊に筆か万年筆で書き込むんだよ。開けごまでもいいし、座右の銘でもいい。好きな詩の一説でもいい。自分の最も深い心の中にある言葉を

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近道なんてないはずだよね、大切なことほど

近道なんてないはずだよね、大切なことほど

地上に落下した花を見つめて

涙を流した夜の長さを思った

君が幸せでありますように

知らないまま過ぎていくはずの名曲に知り合えただけで幸せなのに

君と知り合えた私はなんて幸せなんでしょう・・・

ずっと君の事ばかり考えている

ふと気がつくと想っている

脈打つ数だけ、スタッカート

遠い記憶が融けて、すべて繋がっていく

悲しいことも淋しかったことも苦しかったことも

昇華されていく

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