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ゆめいるか書房(岡田美幸)
2023年3月31日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。※新しい同人のため十句連作が掲載されている。渡邊慧七氏「寂寞」より。種田山頭火の「分け入っても分け入っても青い山」を彷彿とさせるが、更に作者らしさや、定型句などの要素がある。空を掬うという魅力的な設定が、この句を爽やかにしている。蟹を食べる場面なので、家族団らんだ
2023年3月29日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。※新しい同人のため十句連作が掲載されている。内藤都望氏「幽霊人」より。ひまわり目線の句だと読みました。ひまわりが元気に咲いている時ではなく、終わりかけで中心部分が種になりかけて、うつむき始めている頃の様子。元気なひまわりの句が多い中で着眼点が良い。クチナシの甘くて
2023年3月27日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。杉山一陽氏「ゆううつ」より。こたつとこたつの外との温度差で震えたのだろう。観察眼がある。なんとなく犬の性格も伝わってくる。大きい鮫ではなく、小さなサイズの鮫だと思いました。鮫が大きかったら「かな」で詠嘆できずにもっと怖がるでしょうから。ふるさとのほのぼのとした情
2023年3月24日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。宮崎裕氏「願い」より。なんとなく短冊をたくさん書いて笹にさげることはしない七夕。風習と日本人の慎ましさだろうか。砂浜で貝殻拾いをしていて、きれいな貝を拾うことができたら一緒に来た誰かに(家族、友人、恋人などなど)見せる。動詞と名詞だけの構成でそれが分かる不思議さと上
2023年3月22日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。福田淑子氏「菊かをる」より。菊の花を選択した点が、作者らしさだと思う。宇宙から地球に映像が移り、それがどんどん拡大されて(グーグルアースのように)、地球上の菊と、その香りを嗅く作者で映像が終わる。菊が咲くのではなく、かをるという嗅覚が結句であるのも工夫を感じる。海が
2023年3月20日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。鈴木光影氏「一行物」より。地面に落ちたことを「地の記憶始まれり」としている点が上手い上に、その後の葉っぱの運命が気になる物語性がある。噴水に、ガラスが割れるような音が当てられていて面白いと思った。語順にも工夫がある。オノマトペで句の半分ほどを使う勇気や工夫もすごい。
2023年3月15日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。金井銀井氏「スラックライン」より。薬狩とは、山野で薬草や薬効のある鹿の角を採る風習だそうです。ナイキのスニーカーをこの日のために買っておいて気合十分。そういえば確かに!の句。テレビの映像と音から、ラジオで音の話題が移った後で、夏の雨の季語が出て、雨の音で終わるとい
2023年3月13日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。石田恭介氏「どくだみの園」より。「ゆらら」の浮遊感が、屋敷跡の「跡」感を強めているように思った。また、闇と屋敷跡の取り合わせが句全体の雰囲気を作っている。世界平和を願う句とも、作者自身の未来への句とも読める。そう思ったのは世界の涯の涯の字が、生涯の涯だからだった。
2023年3月10日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。榎並潤子氏「クロッカス」より。獣道の道をひらがなにしたことで、独特のやわらかさが出た。映像が浮かぶ句。小さくて桃色な桜貝の形が、喩として活きている。血色の良さも伝わってくる。この句も映像が浮かぶ。追憶の句だろうか。小さな映画館だと思う。映画よりも驟雨の方が気にな
2023年3月8日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。廣澤田を氏「花野風」より。ひな人形は独特の重さがある。ひな壇は重いが人形自体は重くなく軽くないイメージだ。それを「よき重さ」としたことで、雛の存在の重さも寿いでいる気がする。空から若葉への視線の移動が面白いと思った。作者の視点を追体験できる句。「柿若葉」の季語の選択
2023年3月6日 20:30
花林花という句会がある。先日「年刊花林花2023」を頂いた。各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。代表の髙澤晶子氏「七回忌」より。コロナ禍で色々な問題が浮き彫りになった。「コロナ」とは一言も書いていないが、世相を感じた。詩のような謎めいた一首。擬人化されて秋風がしゃべる構図。この句がある連作のタイトルが「七回忌」であり、「わたしは誰でしょう」は実は故人の声ではな