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詩・散文

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#詩のようなもの

詩・散文「カメ太郎よわいよねー」

詩・散文「カメ太郎よわいよねー」

カメ太郎よわいよねー

もーちゃんがね
うもー
っていうからわたし
うんもー!
っていったらもーちゃん
ベロをベロンベロンんしているの
だからわたし 舌をペロンペロンしたら
もーちゃん わらってた 

ミーコがね
わたしをみあげて
み~
っていうからわたし
みゃ~
っていったらミーコ 
しっぽをくねくねしているの 
だからわたし おしりふりふりしたら

ミーコ わらってた

カメ太郎がね 
くびを

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詩・散文「に咲く」

詩・散文「に咲く」

に咲く

ひび割れたコンクリートに咲くスミレの花が

2022年6月 岡村

詩・散文「かまきり」

詩・散文「かまきり」

かまきり

かまきりが
両手の鎌を一重ねて合わせ
祈りながらに
しんでいた

2022年5月28日 岡村正敏

詩・散文「二匹のどじょう」

詩・散文「二匹のどじょう」

二匹のどじょう

二匹のどじょうが二匹のどじょうが 
右にくねくね左にくねくね 
とびあがってぴょん
そして再び水の中 

二羽のちようちょが弐羽のちょうちょが
空にのぼらずひらひらふわふわ
地にもおりずにぴたり 
菜の花にとまって菜の花になった

二人の子どもは二人の子どもは  
くるくるくるくる追いかけっこ 
どっちが追いかけてるのかわからなくなってじゃぶじゃぶ 
河を渡って二度と戻って来なか

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詩・散文「音がきこえる」

詩・散文「音がきこえる」

音が聞こえる

音がきこえる                            宇宙の「音」がきこえる かそけくかそけく              大地の「音」がきこえる ふかくふかく 
飛蝗のとぶしゅんかんの あしの力をたくわえている「音」
それから 病気で床にに伏していた人が ゆっくりと回復し 力がみなぎっていく「音」
絵を描いていると 描いていている絵に実は描かされている事に気付かせてく

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詩・散文「あした私猿になる」

詩・散文「あした私猿になる」

あした私猿になる

日毎に日がのびて
地がぬくんでくると私
目覚める度にウキウキしちゃう
ウキウキウッキーって
あした私
猿になる

2022年2月28日岡村

詩・散文「日本海」

詩・散文「日本海」

日本海

東尋坊から身投げした青白い流線形は
透きとうて脆く
手にすれば血の熱にさえ姿を失い
失いてそんなにも脆弱な薄氷は
それでも時たまにその脆さが故に

切る事だってあるのだ
その時私は
ほんの少しだけ私は
紅く身を染めて血の熱に己を溶かしながらも
東尋坊から身投げした青白い柳葉が
一瞬月光に煌めいて
きらきらと海に溶け込んでいったのを
きらきらと
ほんの少しだけ
頭の裏に掠めみる

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詩・散文「すっころんだこと」

詩・散文「すっころんだこと」

すっころんだこと

今朝僕はすっころんでしまって 
カーンと頭を石に打ち付けたら
目の前一面が空になって太陽か笑っていた
だからぼくも笑ったら猫も笑っていた
犬も笑っていた
バッタだってカエルだってメダカだって笑っていた
カメも
皆皆すっころんだまんま
お腹を広げて笑っていた
海のような空の中で

ああ
今日はいい日になるそうです

雑考・日記・メモ「いただきますの嘘」

雑考・日記・メモ「いただきますの嘘」

いただきますの嘘

私に食われた者たちは決して私を赦してくれないだろう。

それは私が何れ死に、数多生き物の糧となる、そういう命の循環を説いてさえ赦してはくれないだろう、だとすれば、私が生きるために命を食らう事への感謝の念とか、それを言葉にして食事の毎いに命を「いただきます」等言う事は、自己欺瞞に過ぎない。本当に命を食らう事に咎を感じるのならば食わなければいいのだから、そんな文句を百万回唱え海より

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詩・散文「Natural born killers」

詩・散文「Natural born killers」

Natural born killers

誰かとつながり生きている支え合って生きている
喜びを分かち合ったり悲しみを拭いあったりと
それはとても素敵なことなのだ
と同時に例えばそれは
一匹の蝶の羽ばたきがその地球の裏側で台風を引き起こす因子の一つでもあるように
例えば私の些細な振る舞いは
遠く何処かで知らない誰かを踏みにじり傷つけ殺しているに違いない
環境と共に在り関係の網の目の中に生きるとはそ

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雑文・日記・メモ「誰にも知られない花」

雑文・日記・メモ「誰にも知られない花」

誰にも知られない花

誰にも知られずに芽吹き花咲き萎れ枯れていく花は、果たして存在したのだろうか。
私はしなかったとおもいます。
もしこれが正しいならば、在るがままの自然と言われるものは嘘になる。
現象する自然は、必ず人為に依ってその様態が定まり顕在化されるのであろうから(→シュレーディンガーの猫)。

だから私は「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう(レヴィ=ストロース)」とは、私

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哲学・日記・メモ「故郷のこと」

哲学・日記・メモ「故郷のこと」

故郷のこと

上京して夢果たせず、何十年を経て故郷に帰ってきたが、そこは故郷ではなかった。

確かに地理的にはそれはそこにあったし、文化風習は暮らしの中に残っていたが、そんなものは私の故郷ではなかった。

その「土地・地域」に私の故郷はなく(だからと言って普遍的な「大地」を故郷と呼びたいわけでもない)、私にとってのそれは、

あの日遊んだ犬であり、あの日殺したコガネムシであり、夏の空に湧く入道雲で

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詩・散文「赤猫」

詩・散文「赤猫」

赤猫

〇猫、夕日を見ているの?
●まさか、西を向いているだけさ。
〇あら?寝ころんだ。
●寝そべった。
〇そうしてじっとアスファルトの熱を体に吸い込んでいる。
●最後の温もりを味わいながら。
〇猫、ないている?
●どうして?
〇わからない。でも、睫毛がキラキラと濡れているみたい。
●錯覚さ。
〇でも、私の影はこんなにも伸びてゆらゆらと・・・
●揺れている?
〇1ミリの厚みもなく。
●幽霊みたいに

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詩・散文 「子供の夏の遊びの終わり」

詩・散文 「子供の夏の遊びの終わり」

子供の夏の遊びの終わり

夏蜜柑の木の木陰
雨上がりの垣根の匂い
無花果にはカミキリムシ
アゲハの幼虫が角を出し入道雲が湧き上がる
青大将が道を横切って
干からびた蚯蚓は水をかけても動かない
耳に張り付く蚊の羽音
キイキイキイとカミキリムシが鳴いている
足だけが歩いている
 向日葵が種をばら撒いて腐っていま
 した 叢には何だか分からない動物
 の頭骨がありました 暗渠の奥でザ
 リガニが卵を抱い

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