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詩・散文「日本海」

日本海

東尋坊から身投げした青白い流線形は
透きとうて脆く
手にすれば血の熱にさえ姿を失い
失いてそんなにも脆弱な薄氷は
それでも時たまにその脆さが故に

切る事だってあるのだ
その時私は
ほんの少しだけ私は
紅く身を染めて血の熱に己を溶かしながらも
東尋坊から身投げした青白い柳葉が
一瞬月光に煌めいて
きらきらと海に溶け込んでいったのを
きらきらと
ほんの少しだけ
頭の裏に掠めみる

2008年12月 岡村正敏

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