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タイガの読書日記

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ラノベ・小説・学術書など様々な本を読んできたタイガが本棚の整理ついでに本の感想を書いていくマガジン。 割と最近は真面目な本を読むことが多いですが一応多種多様な本やたまに論文を紹… もっと読む
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2021年12月の記事一覧

「超国家主義の論理と心理」丸山眞男(著)

「超国家主義の論理と心理」丸山眞男(著)

「1945年8月15日の敗戦した大日本帝国。そしてGHQの占領下で戦後民主主義と平和憲法を手にして新生日本として出発した」

 戦前の日本の反省としてよく語られるのが上記のようなことです。

では日本はなぜ戦争を引き起こしたのか?

著者である丸山眞男氏はこの「新生日本」を迎えるにあたって、戦争を引き起こした原因をこの論文で論じ社会的に大きな反響を呼びました。

 この論文は「バズって」大きな影響

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「再生産について」ルイ・アルチュセール(著)

「再生産について」ルイ・アルチュセール(著)

本書はフランスのマルクス主義者であり、ミシェル・フーコーやブルデュー、デリダを指導した経験を持ち、1960年代後半以降の構造主義のムーブメントの一角を担い、そして最後には妻を殺してしまう、優秀でありながら犯罪者になった異色の経歴を持つ、ルイ・アルチュセールの本です。

 私は共産主義に共感はしないので、彼の使う表現に戸惑うこともありますが、それでも彼の哲学とこの本「再生産について」は「イデオ

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「真珠湾からバグダッドへ」ドナルド・ラムズフェルド(著)

「真珠湾からバグダッドへ」ドナルド・ラムズフェルド(著)

 今年の夏に死去したアメリカの元国防長官である、ドナルド・ラムズフェルド氏の自伝が本書です。私は彼という政治家、人間が好きなのでこの本の愛読者ですが、多くの人はイラク戦争を引き起こした悪人の一人という印象の方があるのではないでしょうか。

 本書の題名は日本人用に「真珠湾からバグダッドへ」という名前になっていますが、原書の題名は「Known and Unknown」です。

日本人向けの題名が「真

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