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#コラム

深読み 村上春樹の『風の歌を聴け』

深読み 村上春樹の『風の歌を聴け』

毎年ノーベル文学賞候補に挙げられる作家 村上春樹。

そのデビュー作『風の歌を聴け』は、発表から40年以上たった今も、多くの読者を惹きつけてやまない。

Haruki Murakami (1949-)

僕は村上春樹の作品を『スプートニクの恋人』しか読んだことないが、やっぱり偉大な作家の処女作というのは、とても気になる。

ここ一週間ばかり、僕は『風の歌を聴け』のことばかり考えているほどだ。

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印税もらうとものすごくケチになっちゃう理由

印税もらうとものすごくケチになっちゃう理由

先週、拙著『ファンベース』が5000冊の大重版になった。

去年の2月に発売してから1年9ヶ月。
それだけ経って、これだけ増刷するのはわりと希有なこと。
これもこの本を周りに薦めてくださるみなさまのおかげです。ありがとうございます。

これで9刷り42000部。
望み通り「じわじわ売れるロングセラー」になってとてもうれしい。
じわりじわりと5万部を目指します。これからもよろしくお願いします。

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書評「読みたいことを、書けばいい。」(田中泰延)

書評「読みたいことを、書けばいい。」(田中泰延)

Twitterで多くの人がシェアしているので、買う予定じゃないのに手にとってしまいました。

「人は3回違う場所で目にしたら、その商品が欲しくなる」という話を聞いたことがあるのですが、僕はTwitter、Facebook、書店と3回目にしてしまったので、まんまとその法則にハマってしまいました。

でも、読み終えた今はこう言えます。買ってよかった。人に自信をもっておすすめできる本です。

本書「読み

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今日よりかぶくことにした。田端信太郎著「ブランド人になれ!」を読んで。

戦国時代・江戸時代にいた「かぶき者」を描いた小説「かぶいて候」では、「今日よりかぶくことにした」と言って、主人公が裃を脱ぎ捨ててワイルドな姿に変身する印象的なシーンがある。かぶくかどうかは本人の決めの問題なのだ。

そして平成のかぶき者こと、田端信太郎さんの著書「ブランド人になれ!」が本日出版されたので早速読んでみた。

田端さんが会社をやめる前、退屈そうにしていた理由がよく分かった。

2018

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「言い訳」が芸術を作った

「言い訳」が芸術を作った

人は言い訳するとき小説家になる。遅刻したのは親族が突然死したせいだったり、おもわぬ事故に巻き込まれたり、電車が謎の遅延を繰り返したり。

実際に小説っぽい形をとることもある。古代ギリシアの名作『オデュッセイア』は言い訳で作られたという説を小説家の塩野七生が唱えている。

英雄オデュッセウスがトロイア戦争で遠征した後に、故郷に帰るまでに様々な化け物や苦難にあって10年以上も妻の元に帰れなかったという

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たまに読み直したくなるから、処分しないでとってある7冊

#私の本棚

僕の部屋、本棚がないんですね。

だから本は買ってきたら、部屋の隅の方に積んであるのですが、僕、すごく本を買うので、あっという間にたまっちゃうんです。

で、もちろん妻に「処分しなさい」って定期的に叱られるんですね。

だから、買っては読んで、捨てたり売ったり、誰かにあげたりして、とにかく処分してしまうんです。

だから基本的に「僕の蔵書」ってないんです。

でも、「これは手元に置い

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インターネットの出現で、コンテンツを切り取って楽しむようになったことと、nisica×Quiet CornerのCDがすごく良かったこと

インターネットの出現で、コンテンツを切り取って楽しむようになったことと、nisica×Quiet CornerのCDがすごく良かったこと

雑誌って、本当に取材がちゃんとしてあって、写真もキチットしてて、良いコンテンツだなあって思います。

でも、今はあまり買わないですよね。

「どうしてだと思う?」って妻に聞くと、「すごく良い特集だったとしても、他に余分な記事が半分以上入っていると、雑誌を買うのがもったいない」のだそうです。

「今は、ネットで『良い記事』だけを切り取って読むのに慣れているから、雑誌の余分な記事にまでお金を支

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小説を読む魅力は「疑似体験」と「感動」だけだと思っていたのに、「あるある」も大きいんですね

僕の母が「小説の魅力は、自分の全く知らない世界や人生を体験できることだ」ってよく言ってたんですね。

母は『赤毛のアン』が好きで、日本の四国にいながら、違う世界の全く知らない女の子の視点になって、その世界で生き生きと過ごせたことが、読書の醍醐味だと感じたそうなんです。

確かに小説の魅力はまずそこですよね。僕たちは時には王様にもなれるし、殺人者にも大泥棒にもなれるし不倫もできます。SFなら宇宙の生

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