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赤ちゃんの「抱っこトントン」を大人向けにしたら、不安・ストレスを解消できる!? 『公式EFTマニュアル』ゲアリー・クレイグ (著)


1.はじめに

泣いている赤ちゃんを、お母さんが「抱っこトントン」すると、赤ちゃんは泣き止み笑顔になります。恋人たちがハグをし合えば、安らぎや幸福感をもたらします。

原始的な身体刺激は、人間の情動中枢を揺り動かします。言葉を扱えない赤ちゃんの心にすら、身体刺激は届きます。この「抱っこトントン」は、大人にも届きます。鍼灸で使われる「ツボ」を活用すると、効率的に届きます。鍼灸(ツボ)は、WHOがその存在を認めて、針治療が効果的だとされる身体症状のリストを作成している程です。

本書『公式EFTマニュアル』は、そのツボを活用した、ネガティブな感情・記憶の解消エクササイズ(ツール)を紹介します。


「ツボ」や、本書で紹介する「EFT」の科学的な解明は、まだまだ途上です。長い実績をもつ鍼灸治療では、例えば脳の記憶中枢(海馬)を亢進するなどの「データ」は報告されているが、根本的な原因(作用機序)の全貌解明は途上段階です。恐らくは、体内に張り巡らされた迷走神経などを刺激する事で、抱っこトントン同様の脳内ホルモン(オキシトシンやセロトニン)が脳内分泌されています。

残念ながら、EFTやTFTは非科学的な主張に使われることもあるようですが、やがては科学的に解明できるはずです。根拠は、赤ちゃんを見ていると認めざるを得ない「抱っこトントン効果」と、WHOも認めるような鍼灸の「実績」です。EFTは、このトントンと鍼灸ツボを活用しています。本記事でも、筆者(私)なりの脳科学的な解説を付け加えました。


EFTは、本書を読めば、無料かつ数分で出来ます。道具も不要です。それで、日頃の不安や、不意に思い出すネガティブ記憶(フラッシュバック)が、軽減出来たらラッキーです^^


2.EFTの概要

  • EFTでやる事を端的に言えば、不快な記憶に意識を向けながら、身体のツボを数分間タッピングすることです。タッピングする所は、鍼灸治療で使われるツボを活用しています。痛みなどは無く、道具も不要で、10歳児でも簡単にできます。
    お化け屋敷で男女がデートすると、そのドキドキ感を恋愛感情として脳が勘違いすると言われます。同様に、トラウマ想起と同時並行するタッピングの原始的な快刺激(ストレス解消のツボ刺激)により、その不快記憶ラベルを「快」に書き換えます。

  • EFTは、針治療などで使われるツボを活用します。身体のツボに刺激を与える針治療は、国際的に権威ある機関でも認められています。WHOやアメリカ国立衛生研究所などの研究機関が、針治療が効果的だとされる身体症状のリストを作成している程です。EFTは、PTSD、うつ、不安、痛みなどのメンタル問題だけでなく、ダイエットやスポーツでも活用を検討する価値があります。数分で無料で出来るので、とりあえず試してみるという考え方も、ありだと思います。

  • EFTは、他の精神療法のように、「人生を語る」「服薬」作業を数か月以上も続ける必要はありません。痛ましい記憶が数分で解消される事も、しばしばです。カウンセラーと話をする事なく、自宅で一人で出来ます。素晴らしいメリットです。

  • ゲアリー・クレイグさんがEFTを世界中に送りだし、日本人にEFTを伝えるEFT-japanはブレンダさんが誕生させました。 http://www.eft-japan.com/  には、EFTに関する無料の日本語情報が多数置かれています。ぜひ一度ご覧ください。

  • 日本人はいま、幸せのエネルギーを必要としています。人の自然の姿は喜びです。しかし成長していく段階で、たくさんの「いらないもの」が付着しています。その当時には必要だったのかもしれませんが、「今となっては」不要な考え方・感じ方です。EFTは、そうした不要物を掃除してくれる、素晴らしいツールです。


3.EFTの原理(予想)

  • 脳の仕組みから、EFTを説明します。脳の辺縁系は、ネガティブ感情を伴う体験記憶に、ラベルを割り当てます。販売商品に、赤い値引きのラベルを貼り付けるようなものです。このラベルにより、重要な品物であることが区別され、そこには特別な注意が向けられます。 
    そして脳は、記憶を思い出している最中は、その記憶を書き換え可能な状態になります。ツボをタッピングする事で、脳に精神安定ホルモン「セロトニン」などが分泌されます。精神安定しながらトラウマを思い出すことで、その記憶ラベルが「不快」から「快」に書き換えられるのかもしれません。泣いている赤ちゃんが、お母さんが抱っこトントンすることで笑顔になるように、身体刺激は脳の情動状態を左右します。
    情動を司る脳(扁桃体)は、進化の古い過程で生まれた脳部位の為、言葉を喋ることは出来ず、最新脳(理性・言語など)からはアクセスし難いです。むしろ、より原始的な脳幹(身体刺激)からの方が、情動脳(扁桃体)にアクセスし易いのです。情動が身体にメッセージ(胸がドキドキ、胃がキリキリ)を伝えるように、身体(身体刺激→神経→脳幹)から情動脳にメッセージを伝える事も可能なのです

    ※この部分は、本書の内容からは逸脱しています。筆者(私)による個人的仮説です。EFTやTFTに関する本は、脳科学的な説明が少ないので補足しました。赤ちゃんに「抱っこトントン」が効くのならば、同様の効果は大人にも発揮される筈です。


4.EFTの手順(全体フロー)

  1. セットアップ
    ・悩みを10段階でスコアにする

  2. タッピング
    ・身体の特定部をタッピングしながら、フォーマットに従って悩みを3回口にする(アファメーション)
    ・悩みの短縮フレーズ(リマインダーフレーズ)を口にしながら、身体の数か所をタッピングする

  3. 確認
    ・悩みを10段階でスコアにする
    ・悩みが0でなければ、修正手順に移行する(アファメーション/リマインダーフレーズを若干修正する)

※10歳児でも数分で出来る、簡単エクササイズです。具体的な方法は、本書『公式EFTマニュアル』を精読して下さい。


5.注意点、備考

  • 適切なトレーニングや資格を持たない状態で、深刻な心理的問題を抱えた人々にEFTを行うことは避けてください。強い感情を伴った過去の出来事を思い出すことで、何らかの拒否反応を示す場合があるからです。

  • EFT初期にあった「ナイン・ガミュート」は、殆どのケースで不要です。EFTのベーシック手順でも、省略しています

  • アスペクト
    EFTでは、セッション中に現れてくる、さまざまな感情的問題の断片をアスペクトと呼びます。EFTで対処すべき問題対象は、複数あるかもしれません。アスペクトすべてに目を向けてEFTを施さないと、その問題は完全解決には至らないでしょう。
    例えば、クモ恐怖症の人が、EFTで動かないクモを思い浮かべてたら、動くクモを見た時に恐怖が残っているかもしれません。その新しい「動くクモ」に対してEFTを繰り返せば、やがてクモ恐怖症は解消されます。
    問題対象の要素を分解する際、感情も分解して下さい。セッセンションを続けると、ある出来事が、怒りから悲しみに変化する事もあり得ます。

  • 核となる問題(コア・イシュー)
    複数の問題対象がある場合、その状態に含まれる核となる問題(コア・イシュー)を見つけ出し、そこを優先対処する事が良いです。問題が始まった時期や、きっかけとなる出来事を思い返すと、そこに辿り着き易くなります。深刻なトラウマの場合、潜在意識がブロックして、その核となる問題が思い出しにくいこともあります。

  • 悩み(アファメーション)は具体的である事
    EFTで明確な成果を迅速に得るために、具体的な出来事に関する、具体的な問題を選択してください。一度に、複数ではなく一つの問題に取り組んでください。例えば、「人前で話すことへの恐れ」に取り組むのであれば、人前で話をして恐れや不快感を覚えた出来事をすべてリストアップし、その出来事一つひとつにタッピングを行います。

  • 波及効果
    関連するいくつかの問題にEFTで取り組むと、他の問題に対しても効果が波及します。たとえば、ある人が虐待に関する1OO個のトラウマ的な記憶を持ち、EFTで5-10個を解放すると、残りのトラウマも消えていることに気付きます。


6.EFTの応用テクニック

  • 呼吸の深さテクニック
    この手順を日常的に行うことで得られるリラックス感は、身体の健康を改善する助けとなります。スポーツなどの記録に挑戦する際の不安解消ツールにもなります。

  • 内なる平和の手順(自己肯定感UP)
    様々な悩みリストアップし、EFTで解決します。蓄積されてきた自分自身に対するネガティブな感情こそが、「低い自己イメージ」の原因です。思いつく様々な悩みをEFTで解決する事で、「低い自己イメージ」の原因を取り除きます。原因がなくなれば、その結果だった「低い自己イメージ」も消え失せます。潜在意識が、自己肯定感マイナスとしている、その根拠が無くなります。
    新しい心構えや考え方をインストールせずとも、EFTにより自己不信やネガティブな思いから自由になれば、人はポジティブな方向へと傾き出します。EFTはしばしば、ネガティブ記憶を一瞬で変化させるが、多くのネガティブな感情(数十~数百?)を全て取り除くまでには、数週間程度の時間はかかります。その途中で作業を中断しないように、自分自身の変化を注意深く観察してください。



※注
本記事の内容は、紹介する『公式EFTマニュアル』を意訳した内容も含まれます。詳細は『公式EFTマニュアル』を精読して下さい。





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