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バイトな日々

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新卒2ヶ月で仕事を辞めて2年間が経過した。 僕が必死でした事と言えばバイトくらいだ。 無駄だったこの2年間。でも、楽しかった僕のバイトの日々をここに残しておきたいのだ〜〜。 毎週… もっと読む
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2017年7月7日 煙たい客 part2

2017年7月7日 煙たい客 part2

田山さん。うちの店員のほとんどが彼を敬遠する。
体を動かすのがかなり困難らしく、一つの動作をするのに5分はかかる。
彼はワガママを言う。あれもこれも、何もかもやれと店員に指図する。
時に、大きな声を出すこともある。
故に彼は厄介な客とされる。

僕は彼に同情した。可哀想だと思った。彼を下に見ているのかもしれない。
そんなことは別にどうだっていい。田山さんが店に来る時は、できるだけ協力することにした

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2017年 6月18日 煙たい客。

2017年 6月18日 煙たい客。

バイト先に車椅子を押したおじいさんが来る。
車椅子に乗っているのは、自分の荷物だ。
名前は田山さん。
彼はうちの店員に大声をあげたり、とてつもないワガママを言ったりして、
店泣かせな人として有名である。

僕はこうゆう所謂厄介な人に、好かれる傾向がある。
「厄介な人達」というのは見るからに厄介だ。明らか厄介。
なのでこちらとしては、マニュアルに沿った機械的な接客をしたいところだ。マニュアルというの

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2017年 4月17日 ロバートよろしくダウニーJr.3

2017年 4月17日 ロバートよろしくダウニーJr.3

ダウニー1,2。

「柔軟剤ダウニーですか?」
その一言により、彼女は僕の心の中でダウニーという愛称で親しまれるようになった。

ダウニーは、僕のTwitterのアカウント名を聞いたのにも関わらず、いつになってもフォローをしてこない。
では何のために、「Twitterとかやってる?」と告白してきたのだろうか。
そんな事をここ半月ずっと考えている。

先日ダウニーが閉店間際にやってきて、会計を済ませ

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3月14日 おじいさんの見栄と糞

3月14日 おじいさんの見栄と糞

お昼過ぎ。狭い店内が医者や看護師でごったがえしていた。
こっそりレジを抜けトイレに向かった。尿意はそんなに無かったのだが、絶え間ないレジ打ちに疲れてきたので少し気分転換のつもりだった。
病院内にある売店なので、一度店を出て、病院のトイレを使う。このトイレまでの一分間の道のりが、絶大なリラックス効果をもといリラクゼーション効果を僕にもたらすのだ。

しなくても小便を済ませ、急げ急げとトイレから出ると

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EAZY(バイトな日々 番外編)

EAZY(バイトな日々 番外編)

僕は普段noteでバイトな日々というマガジンを書いている。
働き始めてからつけ始めた日記を、読めるレベルに修正して日々更新しているのだ。現在は2017年頭の頃の日記を公開していると思う。
相も変わらず僕は、その日記に出てくるコンビニでバイトしている訳だが、今日出てくる話は今年の話。番外編とでも言った所だろうか。

毎朝牛乳を運んできてくれている、業者のおっちゃんがいる。納品が終わると、毎回コンビニ

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2月27日 GUN

2月27日 GUN

昨夜、灰皿代わりにしていた飲みかけの缶を倒してしまった事を
ふと思い出し、カーペットに滲んだ黒を取ろうとしていたらこんな時間。
外はピーカン。気分が良くなって100円ローソンで、缶コーヒーを買う。
100円ローソンの上の階に住んでいる人が布団を干していて、100円ローソンの看板にかかってしまうのではないかと少し考えた。
理由は特にないけれども、今日は何だか気分が良い。
バイト先の近くのローソンで今

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2月17日 家族

2月17日 家族

起床。部屋が極寒なので、ダウンを着たまま寝ている。
ポケットからエコーを取り出してライターを探すこと二分。
タバコを吸いながらTwitterを開き、寝ている間に流れて行ったTLを巻き戻す。
しょうもないな〜と思いながら、水と吸い殻が入ったサラしぼ缶にタバコを捨てる。その瞬間の俺は超かっこよくて好きだ。
今日バイトじゃなかったら何をしたかな〜と想像していたらあっという間に出勤時間。
タバコをポケット

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1月14日 天気と親父の遺書

1月14日 天気と親父の遺書

平成二十九年になった。
だからと言って特に何かが変わった訳でもなく、唯一変わった事と言えば遅番になったという事だ。
遅番の日は正午に家を出るのだが、何故か心持ちが不安定だ。
心臓がバクバクしてくるし、吐き気がする。バイト先につけば平常に戻る。戻るというか気が紛れると言った方が正確なのかもしれない。

早番の時は朝の六時に家を出る。外は少し明るくなってきたくらいで、誰も歩いていない。そして何故か僕も

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1月4日 俺だけの金曜日。

1月4日 俺だけの金曜日。

僕は母子家庭で育った。
中高大と私立に入れてもらった。片親で中々出来る事ではない。
母親は「父親がいないせいで出来ない」という事を物凄く嫌った結果、
何もかもを僕に捧げてくれた。

何故か地元に残りたくないと思い、唯一受かった私立の大学に行きたいと言った。
彼女は基本的に「それがあなたのためになるなら。」と言ってくれる。
引っ越し先を探しに一緒に東京に来た時、一度だけ「お願いだから茨城に残って。」

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12月30日 深海。誠。

12月30日 深海。誠。

寒い。何て寒い朝なんだ。
今年の冬は「冬ベスト盤~DJ KAORI Remix~」に収録されている、過去の冬達と比べても一番サムいのではないだろうか。
きっと若手の冬なのだろう。今季結果を残さないと今後使ってもらえない。
その焦りが裏目に出ちゃってるよ。
執拗に手を叩いて笑う感じの若手と同じ嫌な感じがする。
「冬も大変ですな〜」なんて思いながら、カレンダースマホのねを見ると、明日は大晦日。
病院の

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12月27日 世はボリューム満点激安ジャングル

12月27日 世はボリューム満点激安ジャングル

極寒。5時50分目が覚める。
起床と共にダウンのポケットからタバコを取り出し、束の間の休息。
机の上に、頭の悪そうなフォントで「BIG」と書かれているペプシ缶。
飲みかけだったので、即灰皿になった。
「シュワ〜」という音は炭酸なのか、消化の音なのかどっちなんだろう、どっちもかな?と思いながら5時55分に家を出る。

5分で家から出れるのは、この家が極寒だからである。暖房の効果は無く、ありとあらゆる

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12月20日 千円。

12月20日 千円。

胸ポケットから小さく折りたたまれた千円札が出てきた。
レジではマイナス千円がでている。千円以上の過不足は本社に連絡をしなくてはならないので、社員の二人がイライラを抑えながら必死で何度も点検をしている。

「どう説明しよう。」という事で頭が一杯になった。何故自分の胸ポケットから千円が出てきたのか説明がつかない。現在僕は電気、水道、ガス、全ての公共料金をギリギリ目一杯まで滞納している。休憩中はいつもポ

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はじめに

はじめに

今日は朝番だった。勤務時間は七時から十五時三十分の七時間半労働の訳だ
が、朝番の1番の大仕事は七時までに店に辿り着くという事である。
規定時間内に店の鍵を開けた僕の表情は、退勤する時の表情と全く同じ顔をしているはずだろう。決められた時間内に店に辿り着くためには、朝の五時半に起きなくてはならない。本当は五時四十五分でもいいのだが、最近かけたパーマが寝癖を後押しするといった事が多々あり、その場合はお風

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