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伝説のつるぎ 大熊健司
2023年10月29日 00:06
午前中の業務が終われば、至福のひととき、お昼休みである。と言っても、これからまだ労働に従事しなければならないことを考えれば、束の間の休息に過ぎないのだが、それでもこういう時間こそ大切にしなければならない。石嶺は自作の弁当を手にすると、一人休憩室へと向かった。以前までなら買ってきたもので済ませたり、外に食べに行くことも多かったが、ここ最近筋トレなどに精を出すようになってからは、手作り弁当を持参
2023年10月22日 00:06
「今日は先生に来ていただきました。」「いや、先生なんてそんな。」「いや、間違いなく先生だよ。」「いやいや……」「先生、お飲み物は何になさいますか。」「いや、ここドリンクバーだから。」「先生の分をお持ちしますよ。」「ええ……」「どうなさいますか。」「いや、いつも通りでいいから。ね?」 英一が珍しく声を張り上げた。「わかったよ。」「なんか途中から楽しくなっちゃってさ。」「そう
2023年10月14日 00:10
「実は折り入ってお話ししたいことがございまして。」「どうしたんですか。」 今日も今日とて打ち合わせをしようとカフェに来ていたのだが、雨相がそう切り出したのだった。 しかし別にそれ自体は特段珍しいことではない。 こうやって大風呂敷を広げてみては、意外と普通の話だったり、逆にそんな小さな話が次の話のヒントになることもあった。 そのため高森は、雨相からこんな風に切り出されたときは、なるべく前の
2023年10月8日 00:15
「今日うち来ないか?」「待ってました。」 陽介は快諾した。ここ数日、勇樹はどうにも付き合いが悪かったが、陽介としてもその理由は分かっていたので、特段深く掘り下げることもしなかった。 そんなことがあった上での久しぶりのお誘いだった。「お邪魔しますー。」「おお、まあ今日は誰もいないから気にせんでくれ。」「はーい。」「早く早く。」 脱いだ靴を整えていた陽介を急かすように勇樹は言った
2023年10月1日 00:03
「意外と二人で帰るって珍しいですよね。」 真壁はふと思いついたように呟いた。「ああ、そうか?」「はい。それこそ普段なら清志くんがいたり、他の人がいたりするじゃないですか。」「ああ、まあ確かにそうか。」 石嶺少し納得したように答えた。「たまにはいいっすよね。」「そうだな。」 真壁はそんな他愛もない話をしたところで詰まった。 さっきも言ったように真壁と石嶺が二人きりになる機会はそれほ