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伝説のつるぎ 大熊健司
2020年12月27日 00:43
「樽井先生、今ちょっとよろしいですか?」「あはい、えっと、どうかされましたか?」 教師になって二年目、生徒とは年が近いこともあり兄のような感じで慕われていたが、ここ職員室ではそうもいかない。特に熟練の教師が多いこの学校においてはまだまだ赤ん坊である。 ましてそんな樽井に話しかけてきたのは鬼木田の異名を持つ榎木田正臣。さすがに動揺を隠しきれなかった。「いや大したことじゃないんですけどね、樽井
2020年12月20日 14:38
「本日お話してくださるのは、副島七星(そえじまななせ)さんです。どうぞ!」 生徒たちの拍手に包まれて壇上に登場したのは四十という年齢を感じさせない綺麗な女性だった。「皆さんこんにちは。ただいまご紹介にあずかりました副島七星です。本日は短い時間ではありますが、よろしくお願いします。」 この学校では授業の一環として定期的に卒業生による講演会が開かれていた。でも私にとっては決して魅力的なもので
2020年12月13日 00:32
「まっつん、明日誕生日じゃん!」 黒板に書かれた日付を見て、陽介がそう言った。「うん。」「何だよ、その反応。」「いや、そんなはしゃぐほどのことでもないだろ。」「いやいやいや、誕生日だよ?テンション上がるでしょ!」「百歩譲って、もし仮に誕生日でテンション上がるとしても、明日だから。」「ああ、そうか。」 陽介は心なしか、いつもよりもローテンションになった。「でも小さい頃とか嬉しくなか
2020年12月6日 00:09
「俊くん、このあとどうする?」「うーん、映画まではまだ時間あるし、喫茶店でも行くか。」「じゃあさ、この前テレビで見た中国茶専門の喫茶店とかどう?」「へえ、面白そうじゃん。」 帰省を終えて東京に戻ってきた俺は、紫月と久しぶりのデートに来ていた。「映画までまだ一時間くらいだっけ。」「うん、それくらいかな。」「てか中国茶の専門店なんて言うから変わったお茶しかないのかと思ったけど、意外と普