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親切になりにくい世界。

 旅行前、ロンドンの「地球の歩き方」を読んでいて気になったことがありました。

それはロンドンの治安について。
観光ガイドには総じて書いてあるものですが、ロンドンのガイドには比較的多めに防犯や被害にあった場合の対応について書いてあるように感じたのです。


 ネットで調べてみても、観光客を狙った犯罪への注意喚起がかなり載っていました。しかも、昨今の物価高騰などの影響もあって治安が悪化の一途を辿っているのだとか。

 正直日本だって最近治安いいのかしら?と思いますし、極端に悪くて日中でも町を1人で歩けないレベルでもない限り、治安の悪さを味わうかは自己防衛力と運みたいなところがちょっとある気がしていて。

 ロンドンはそこまでの治安の悪さではないようですが、夫が仕事で私一人で行動する日もあったので、いつもよりも入念に色々調べることにしたのです。

ネットと本で出てきた、被害例をざっくりまとめるとこんな感じ。

<観光客が被害に遭う例>
・混雑した場所(電車、観光スポットなど)でのスリ、ひったくり
・電車の切符売り場付近での置き引き、スリ
・駅構内で道を尋ねるふりをして近づいてひったくり
・カフェのテラス席で、机に置いたスマホを盗む盗難
・制服を着た偽警官がクレジットカードなどを取り上げる
                                                                                              etc…

 そのほか色々あるらしく、ロンドン在住の人も口座に少額が入ったデビットカードと少額の現金しか持ち歩かないようにしているとか。そのため、ロンドン在住の人のものを盗んでも大して儲からないから、より観光客を狙うようになっている、という話が書かれていました。

 話の真偽はさておき、やっぱりちょっと気を引き締めて行ったほうが良さそうだな、と思った私は持ち歩くバッグはリュックサックをやめて、チャック付きのショルダーバッグに。ストラップを少し短めにして体の前に持つようにしました。
 まだ少し寒かったので、前が閉められる内ポケットのある上着にして、貴重品の分散ができるようにしました。


 そんな装備と心の準備を整えて始まったロンドン観光。
ロンドンの足はロンドンバスと呼ばれる赤いバスか、地下鉄。東京くらいに地下鉄が張り巡らされているので、乗り方さえわかればとてもスムーズに移動ができます。


 ロンドンの地下鉄の注意点は、スマホの電波が届かないこと。
有名な話かもしれませんが、私はガイドブックを読んで初めて知りました。
観光客など地下鉄の路線図が頭に入っていない人は、地下鉄の構内に入る前に行き先と乗る電車をちゃんと覚えておかないと、地下鉄のホームで調べることはできません。私は事前に調べて知っていたので、乗る前にチェックするようにしていました。


 そんな緊張感を持ちながら夫と地下鉄で移動していたときのこと。
乗り換えのホームへ向かって歩いていると急に男性が話しかけてきました。「ジュビリーラインはどっち?(英語)」
私も乗ろうとしていた電車だったので、とっさに指さしました。

そこで私はハッとするのです。


・駅構内で道を尋ねるふりをして近づいてひったくり


 これ、観光客を狙ったひったくりの例として色々なところに挙がっていたものだったんですよね。教えてから「しまった!」と思ってしまって。
もちろん、男性は私と夫のあとをついてきます。



 夫に日本語で「これ、まずいやつかな?」と相談します。「大丈夫じゃない?」と夫は言うのですが、状況が状況だけに安心できません。

 改めて見てみると、その男性はサイズの合っていないブカブカのスーツを着ていて、生地は春先に着るには大分厚手のツイード。手にはくたびれたボストンバックのようなものを持っていました。ちらっとみた背広の背はシワシワで、とても手入れをして着ているようには見えません。


 「念のため(用心して)ちょっと急ごう」と夫に伝えて、いつもよりかなりの早足で歩いていきます。
 特に何かをしてくるわけじゃないけれど、微妙な距離のまま歩くこと数十秒後……その男性は乗り換える電車のホームに辿り着く前に立ち止まり、スマホを見始め、私達はホームにだどりついて足早に電車に乗り込みました。



電車に乗った後。
何もなかったことにほっとする一方で、すごくモヤモヤしてしまって。



 もちろんモヤモヤの原因は、先程声を掛けてきた男性のこと。
正直格好にはやや違和感があったものの、本当に怪しがる必要がある人だったのだろうか、と気になってしまったのです。


 先程書いた通り、ロンドンの地下鉄はスマホの電波はありません。
もし本当に困っていて、誰かに助けを求めようとしていたのなら申し訳なかったな…と思ったのです。
 道を指さして教えはしたものの、実質振り切ってしまったようなものなので本当に困っていたのなら、すごく冷たい人だと思うのです。


 でも治安が良くないところでは、何気ない気遣いや親切心が裏目に出てしまう場合もあります。
 周りに助けを求める人がいるなら、自分にできることはないかと考えてしまう方なので、さっきもとっさに助けようとしてしまいました。
 でもこういうことが自分の身を危険に晒す可能性もあるのだと思うと、おのずと「関わらない」「無視する」という選択をせざるを得なくなるのですよね。


ロンドンの人が歩くスピードが速いのは、そういう理由もあるのかもしれません。のんびり歩いていると、それだけ色々な人が近づいてきてしまうので。
なんだか少し、親切になりにくい世界だな、と思いました。


道を歩くだけで人を疑わないといけないのは悲しいことだけれど、
自分の身は自分で守らないといけない。


ここがむずかしいところです。
乗り換えなら駅員さんに聞けばいいのだと思うのですが、困っていたらとっさに周りに尋ねたくなるものだとも思うのです。


 でも自分が道に迷っていた場合も、近づいてくる人に助けてもらうこともリスキーなので(変なところへ連れて行かれてしまう、強盗に遭う可能性がある)交番か駅などでちゃんとした人に聞くのがベターなのだそう。
色々大変だな、ロンドン。


 初めて来た場所なのもあるし、ちょっと過敏になりすぎているのかな…とも思いましたが、ロンドンも場所によっては何を言っているかわからない人がフラフラしていたり、路上生活者らしき方が小銭を受けるためのコップを持って近づいてきたり、道で寝ている人がいたり。
 時間帯などにもよるらしいのですが(意外にも、平日の午前とかのほうが多いらしい)、思ったより緊張する機会が多かったです。

 実際、ロンドン観光をしている間、結構な数の警察車両がサイレンを鳴らして街を走り回っていたので、やはり色々起きているのだと思います。



シャーロック・ホームズ・ミュージアムが面白かったよ!

 私の中でのロンドンは「シャーロック・ホームズ」のイメージが強すぎて(そもそも時代が違う)、治安が良くてクリーンというイメージは正直あまり持っていなかったのですが、今ロンドンってこんな感じなんだなあと思いました。


ウェストミンスター寺院もすごかったよ!!

 そして、海外の観光地で治安が……なところは他にも結構あるので(10年くらい前に行ったイタリアとかも結構……でした)、だからダメとか行くなとかそういうことを言うつもりは全くありません!
実際ロンドン観光、とても楽しかったです!!(それはそれで記事書きます!)


なので皆さんも身の回りに気をつけながら、どうぞ安全で楽しい旅行ができますように!


あ、あと最後に、最近日本にもできた
メイキングオブハリー・ポッターにテンション爆上がりしたよ!!

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