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The Beatles 全曲解説 Vol.120 〜Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band

本日から、歴史的大名盤『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』収録曲の解説に移ります!
ここまでの名盤になると下手なことは書けないのでだいぶ緊張しますが(笑)、引き続き「楽しく面白い解説」を心がけて参りたいと思います。
よろしくお願いいたします。

アルバム『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』について

ビートルズ8枚目のアルバム『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』は、1967年6月1日に発表されました。

1966年8月にライブ活動を休止後、3ヶ月の休暇を取ったビートルズ。
デビュー以後、まとまった休みを取れていなかったメンバーは、「魂の休養」とばかりに思い思いに時間を過ごし、各自の創造性を高めていきました。
66年11月に再び集結したビートルズは、全員が口髭を蓄え、若々しいライブバンド期の彼らとは違った雰囲気を湛えていました

ちなみにこの口髭ブームは、周囲のスタッフにも伝播したそうです(笑)。

ここからビートルズは、取り戻したエネルギーを爆発させんばかりに、アルバムの制作に取り掛かります。
中でもエネルギッシュな活躍を見せたのはポールで、アルバム13曲中7曲はポール単独による作品です。
中でも大きな貢献は、アルバム全体を「架空のバンドのショーにする」というコンセプト・アルバムの構想を打ち出したことで、当時としてはかなりの冒険でした。

アルバムジャケットもそれに倣ったもので、軍服のコスプレをした楽団が墓地に立っているという奇妙なもの。
後ろの群衆は全て実在の人物で、いちいち肖像権の許可を取りながら掲載したもので、ライナーノーツには丁寧に名簿が掲載されています。
その中にはボブ・ディランや、亡きスチュアート・サトクリフも登場しています。

(ちなみに、日本のファンには嬉しい左手前の福助人形ですが、これはジョンが来日時に購入したもの。
来日をきっかけに、ジョンの日本への関心は大きく高まっていきます。)

このコンセプトアルバムの試みは結果的に大成功。
『Rubber Soul』『Revolver』で試みられた新たな音世界への挑戦がこの一枚に結実し、それまで誰も聴いたことのなかった嵐のような40分は世界を驚愕させました。

イギリスだけで500万枚以上を売り上げ、67年のグラミー賞最優秀アルバム賞を受賞したこのアルバムは、現在でも音楽雑誌の「最も偉大なアルバムランキング」の上位常連となっています

ただ、サブスク化の進み、アルバムの価値が相対的に低下した現在では、そういったランキングでの立場は若干弱まりつつあります。
それでも、このアルバムが聴くたびに私たちを驚かせてくれる、一大コンサートへのプラチナチケットであることには変わりません

壮大なサウンドトリップへの入り口!衝撃のイントロダクション “Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”

『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』1曲目。
ポールの作品で、リードボーカルもポールが務めます。

冒頭からいきなり観客のざわめき。
当時のファンは、ライブアルバムなのか?と勘違いしたかもしれません。

ただ、かつてビートルマニアの少女達が出した金切り声とは違います。

なぜなら、これはビートルズのライブではないから。
ビートルズが生み出した、ペパー軍曹楽団のシークレットライブが満を辞して始まりを告げるのです!

この観客のざわめきは、ライブの観客というよりもサーカスの観客に聴こえるのは筆者だけでしょうか(笑)。

早速のタイトル曲は、アルバムの進行役である主人公が、ペパー軍曹の楽団の成り立ちや、ライブの進行スケジュールを歌うもの。
間奏のホーンセクションは、まさに軍楽隊のような趣があって楽しいものになっています。
「オォー」と感嘆の声(もしくは笑い声?)を挙げる観客がユーモラスで可笑しいですね。

この「ペパー軍曹」のアイデア、少し細かく言うと、ポールがニール・アスピノールというスタッフとのやりとりの中で生み出したと言われています。

写真右上に収まっているニール・アスピノールは、マル・エヴァンスと同じくロード・マネージャーを務めていた人物です。
ポールやジョージとは学生時代からの友人で、ビートルズ後期のバンド運営に重要な役割を果たすことになります

曲の終盤では「ビリー・シアーズ」というメンバーが紹介され、ライブの本格的な始まりを告げます。
そしてエンディングで観客が「待ってました!」と言わんばかりの大歓声!
こんなのワクワクしない訳ないじゃないですか!

過去どのアルバムよりも「何が起こるんだ?」という期待を抱かせてくれるオープニング。
全てを結集させた音の小旅行が今、始まります。

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