【5分で読める】四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(憎悪の火28)【無料試読あり】
このお話のあらすじ
頭領狐が主人公の元にやって来て、深々と謝罪の言葉を述べる。主人公はそんな頭領狐に言葉をかけた。
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以下本文
花さんはしばらくお母さんに祈りを捧げて、沸き立つ集団の中に戻って行った。花さんが号令を出し、まだ回復していないアヤカシや結界の外で倒れているアヤカシたちの治癒に繰り出していく。化け狐たちも素直に花さんの指示に従う。本当に、花さんはたくましいヒトだ。
それを見たスオウも結界を解き、今度は燃え尽き、なぎ倒された木々の方へと向かった。広大な面積が荒れ果ててしまっている。スオウはその縁に立ち、何やら印を結んで地面に強く両の手を叩きつけた。
たちまち炭になり折れた木々の下から小さな苗木が生え、それぞれが元のような巨木へと成長していく。掘り返された草も我先にとその体を伸ばし、花を咲かせた。町1つ分ほどの荒れていた森は、あっという間に元の豊かな緑に生き返っていた。そしてその緑はぐんぐんと範囲を広げていく。スオウの本領発揮といった具合だろう。その背中はどこか楽しげだった。
「やれやれ、大仰なことを」
私の横に立ったのは、少し顔色の悪い長老だった。その足元にはクロ君も居る。
「おじいちゃん! クロ君! 無事だったんだね!」
思わず2人に抱きついた。あんなに大怪我をしたクロ君も何事も無かったかのように元気そうだ。長老も、私をそっと抱きしめ返してくれた。
「澪さんのことは残念だ。助けてやれんですまなかった」
「いいの。さっきいっぱい泣いて、今はすっきりしてるから」
「お嬢ちゃんは強いの。それでこそ巫女の末裔だ」
「そのことなんだけど・・・・・・」
「どうした?」
「もう、九尾は居ない。ユリノ様も居ない。宮路家はどうなっちゃうのかなって」
「そうだな・・・・・・巫女様の血で保たれていた力は無くなるだろう。九尾が消えたのであればその役目ももう果たしている。巫女としての家柄は終いじゃな」
「じゃあ、私は当主を継がなくてもいいってこと?」
「何を言ってる。澪さんが亡くなってしまったし、あの婆さんは力を失って今頃呆けているだろうよ。だから今はお嬢ちゃんが当主だ。お嬢ちゃんがしたいようにしたらいい」
「・・・・・・そっか・・・・・・じゃあ、そうする」
「それはそうと、龍はどうなったんだい? 九尾と一緒に消えちまったのかい?」
「・・・・・・わかんない。ユリノ様には、後は頼むって言われたけど・・・・・・」
「・・・・・・なるほど。それなら、お嬢ちゃんに任せるとしよう」
「え?」
「クロ、わしらもみなの手伝いに行こう。動けるか?」
「勿論です! 師匠の術のお陰で完全復活です!」
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