かき氷作りたい。
なついあつになってきた。
蝉の声は日に日に勢力を増し、私の耳に苦しい衝撃を与える。
この鳴いている蝉たち(オス)に混じって、倍くらいの鳴いていない蝉(メス)がいるのかと思うと、あの木には何匹の蝉が止まっているのだろうかと想像してしまう。
日差しは目にまで染みてきて眼球の水分が急速に奪われている気がする。
特に日干しになっている車のドアを開けると、車内の合成サウナ具合に圧倒されてしまう。
とある理由でかき氷機を実家から引っ張り出してきた。
かき氷機は購入したのは良いものの、一回だけ使ってお蔵入りになるケースはないだろうか。
それがいとこ宅で起こり、もう使わないからとこちらにやってきた。
うちではそれなりに活躍していたが、私が家を出てしまうともう使うことがないのか、古民家に持って行って良いと言われた。
暑い夏にキンキンのかき氷が食べられるのは幸せなことだ。
早速私が好きなかき氷の具材を揃えた。
抹茶のシロップにあんこ、練乳にきな粉を買った。
いざ、氷を作るために水をなんちゃって冷凍庫に入れた。
明日はちょうど友達がやってくる。
これは一緒にかき氷パーティと洒落こめるぞ。
夜は出かけなければならない。
その前に少し氷の様子を見てみるかと覗いてみた。
冷たい水だ。
明日まで待ってみよう。
翌朝期待を込めてなんちゃって冷凍庫を開けてみた。
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冷たい水だ。
いや、ひんやりとしていてキンキンに冷えた水だ。うん。
どうしたものか。
古民家でかき氷は食べられないのか。
しかし今日は諦めるしかない。
買ってしまった抹茶シロップはどうすればいいんだ。
砂糖として消費するか。
甘いものが食べたくなった時に、気付いたらあんこと練乳ときな粉を混ぜて食べている。
これヤバいかしら。
でもとても美味しい。
砂糖おいしい。
そして、数日後なんちゃって冷蔵庫を開けた時に、そういえばキンキンの水を入れっぱなしだったと思い出してみると、
水が氷になっていた。
お前、やればできるではないか。
なぜもっと早く言わないんだ。
この奇跡の氷はここぞとばかりに使おうとまだとっている。
今度訪問者があった時のために残しておこう。
なついあつは涼しく過ごしたいものだ。