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本と映画と野球とラグビーを中心に愛してるサラリーマン。たまに書いたり聞いたりしています。

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マガジン

  • 積読日記

  • それぞれのRWC2019

記事一覧

あるロッテファンは突然の別れをいかに受け入れたか──あるいは清田との区切りをめぐって

 人生は予期せぬ別れの連続だ。だから送別会や卒業式、あるいはお葬式でさえも、あいさつをして、区切りをつける……そんな儀式ができたほうが、旅立つ側にとっても見送る…

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9か月前
10

女たちの中東-ロジャヴァの革命

多数の民族が共存し、信仰の自由、女性の権利が保障され、あらゆる街、村に生まれた政府から干渉を受けないコミュニティの「民主主義的自治」が行われ、国民国家を否定する…

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3年前
2

【映画】ルース・エドガー

ヴァージニア州の高校に通うルース・エドガー。陸上部のキャプテンに任命され、討論部の代表として全米大会にも出場する文武両道の模範的な優等生。7歳でエリトリアからア…

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3年前

【映画】その手に触れるまで

舞台はベルギー。ムスリムコミュニティに暮らす13歳の少年アメッドは、おそらくどこにでもいる感じの少年で、ちょっと前まではプレステにハマっていたが、最近は雑貨店の2…

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3年前
1

【積読日記12】読めない本しかないから

たびたび登場する近所の本屋さんは2フロアで、緊急事態宣言後も営業している。1階は雑誌、文庫、マンガ、文芸書、芸能系、実用書などなど。2階に専門書やビジネス書、文房…

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4年前
6

【積読日記10】再読しようとする

一度読んだ本を再読することもあるけれど、けっこう、なんて言うか必要に駆られて読むことが多いのだけれど、そういえばそうだったか、と思って手に取ることもある。 よく…

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4年前
1

【積読日記9】積読を立て直す

3月で世界は大きく変わった。やっていたZINE作りはテープ起こしまでなんとかやって、そこからどうしていいかわからなくなってしまった。人に見せない日記は途切れがちにな…

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4年前
5

「コロナ時代」とは何だろうか。

先の見えない日々が続いていて、まぁじゃあ1月・2月の頃は先が見えていたのかと言うと決してそんなこともないんだけれど、今度早川書房さんから「コロナ時代の僕ら」という…

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4年前
3

【積読日記8】寝入りに日記を読む/よう知らんけど日記・よりぬきのん記・にょっ記・八本脚の蝶

引っ越してから始めたことに、メモ帳に日記を付ける、というのをやっている。手書きの、汚い字の、脈絡のない、人に見せない日記。一方で世の中には人に見せる日記というの…

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4年前
4

【積読日記7】まっすぐ帰るのもちょっとなぁという金曜の夜/韓国が嫌いで

なんかまっすぐ帰るんはちょっとなぁ……という日がある。仕事で頭を使ったつもりやったのに何も進んでなくて、前によく行ってたラーメン屋さんでハイボールも飲んだけどち…

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4年前
2

【積読日記6】航海の歴史/物語創世/ラグビーの世界史/文学問題(F+f)+/WTF経済

分厚い本っていいですよね。持ち運びがどうとか、重さがどうとかありますけど、手が攣るように本を読みたい。5冊合わせて2,400ページほど。並ぶと一番端の文庫の薄いこと薄…

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4年前
8

【積読日記5】ローマ亡き後の地中海世界/ブルボン朝/ハプスブルク帝国/「棲み分け」の世界史

母が積読にしていたロードス島攻防記を手に取ったのが塩野七生さんへの入り口でした。たぶん小学校6年生とか、中学入ったとことかそれぐらい。そうしたうちに川原泉の漫画…

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4年前
2

【積読日記4】hibi//ジョン/本屋の本当/新しい目の旅立ち

ペースは決めてないし、まして買うたびに書いていたら更新の頻度にも限界はあるので、次は前から積んでるものを書くつもりだけれど、「分けた」と書いたから少し日が空いて…

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4年前
5

【積読日記3】ポスト・サブカル焼け跡派/2010s/モヤモヤの正体/ロバート・ツルッパゲとの対話/Number

さすがにそろそろ財布がヤバい気がする。スペースはまだある。でも新刊は待ってくれない。と、思ってた矢先に3年前にもこんなことを書いていた。っていうかFacebookで時々7…

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4年前
8

【積読日記2】かたちは思考する/表現のエチカ/それを、真の名で呼ぶならば/自家中毒

思いもよらぬ理由で引っ越すことになってしまったのだけれど、引っ越してよかったと思うことの一つに、最寄りの本屋さんが23時まで営業している、ということがある。2フロ…

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4年前
5

【積読日記1】文藝/未来をつくる言葉、彼女は頭が悪いから/ハイ・フィディリティ

定期購読している。とっくに発送されていたんだけれども、前に住んでいたところに届いてしまったので、ようやく手元に。毎回次号が出るころに読み終えているので、きっと今…

nogu_t
4年前
4
あるロッテファンは突然の別れをいかに受け入れたか──あるいは清田との区切りをめぐって

あるロッテファンは突然の別れをいかに受け入れたか──あるいは清田との区切りをめぐって

 人生は予期せぬ別れの連続だ。だから送別会や卒業式、あるいはお葬式でさえも、あいさつをして、区切りをつける……そんな儀式ができたほうが、旅立つ側にとっても見送る側にとっても幸せなのだと思っていた。突然いなくなってしまった人とのことは、ずっと考え続けてしまうだろうから。

 これから清田育宏という選手にまつわる話をする。と、言っても僕は決して熱心な清田ファンではない。しいて言えば、2010年代後半、

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女たちの中東-ロジャヴァの革命

多数の民族が共存し、信仰の自由、女性の権利が保障され、あらゆる街、村に生まれた政府から干渉を受けないコミュニティの「民主主義的自治」が行われ、国民国家を否定する「自治行政体」を実現するエリアが存在する。中東シリア北西部。クルド人、アラブ人、アッシリア人、カルディア人、アラム人、トルクメン人、チェチェン人といった多民族が暮らす、「ロジャヴァ」と呼ばれる地域。そこがいかに成り立ち、どんな営みがなされて

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【映画】ルース・エドガー

ヴァージニア州の高校に通うルース・エドガー。陸上部のキャプテンに任命され、討論部の代表として全米大会にも出場する文武両道の模範的な優等生。7歳でエリトリアからアメリカにやってきた彼を養子に迎えたエイミーとピーターはそれぞれ医者と実業家として仕事をこなし、進歩的な、政治的に正しい、(おそらく民主党支持の)白人。エリトリアでは少年兵であり、勉強よりも先に銃の扱い方を覚えていた彼の心理的な傷を治すべく、

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【映画】その手に触れるまで

舞台はベルギー。ムスリムコミュニティに暮らす13歳の少年アメッドは、おそらくどこにでもいる感じの少年で、ちょっと前まではプレステにハマっていたが、最近は雑貨店の2階でモスクというにはあまりにも狭く簡素な祈りの場を営むイマーム(導師…まぁお坊さんみたいな)の教えに傾倒しつつある……。大人のムスリムは女性と接しない、ユダヤ人と付き合い始めた(真偽は定かではない)先生は不信心者だ、神聖なアラビア語をコー

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【積読日記12】読めない本しかないから

たびたび登場する近所の本屋さんは2フロアで、緊急事態宣言後も営業している。1階は雑誌、文庫、マンガ、文芸書、芸能系、実用書などなど。2階に専門書やビジネス書、文房具がある。最初は営業時間を短縮しただけだったが、先日からついに2階の営業を取りやめた。夜は20時までで、在宅勤務に一区切りつけて、食料の買い出しついでにふらっと立ち寄ると(まさに不要不急!!)、いいか悪いかは別として、そこそこ賑わっている

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【積読日記10】再読しようとする

一度読んだ本を再読することもあるけれど、けっこう、なんて言うか必要に駆られて読むことが多いのだけれど、そういえばそうだったか、と思って手に取ることもある。

よく若いころに読んだあの本を今読むと…みたいな話はあるわけですが、そうか、今年で35歳か、と思って文庫を買いに行った。

単行本で読んだときは2009年?2010年?少なくとも僕はまだ20代半ばとかで、「35歳問題」なんていうのは理屈としては

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【積読日記9】積読を立て直す

3月で世界は大きく変わった。やっていたZINE作りはテープ起こしまでなんとかやって、そこからどうしていいかわからなくなってしまった。人に見せない日記は途切れがちになり、Twitterのログが何となく日記のようになっている気がするけど、今のTwitterに残るのもどうなんだろうという気がしていきている。そんな中で変わらなかったことと言えば、この積読の山であろうと思い、ぼちぼちと再開していこうとしてい

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「コロナ時代」とは何だろうか。

「コロナ時代」とは何だろうか。

先の見えない日々が続いていて、まぁじゃあ1月・2月の頃は先が見えていたのかと言うと決してそんなこともないんだけれど、今度早川書房さんから「コロナ時代の僕ら」という本が出るということ、その即時性を話題にして、編集者の間でゲラを回し、先行してあとがきがnoteで出て、とかいろいろ「仕掛け」を感じなくもないけど、それはそれで当然やるべき、むしろその仕掛け方を教わりたいぐらいではあるのだけれど、それを抜き

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【積読日記8】寝入りに日記を読む/よう知らんけど日記・よりぬきのん記・にょっ記・八本脚の蝶

【積読日記8】寝入りに日記を読む/よう知らんけど日記・よりぬきのん記・にょっ記・八本脚の蝶

引っ越してから始めたことに、メモ帳に日記を付ける、というのをやっている。手書きの、汚い字の、脈絡のない、人に見せない日記。一方で世の中には人に見せる日記というのもあって、これもまぁその一つではあるけれど、日記を書いた後に日記を読んで寝る、というのをしている。

柴崎友香さんの小説で発される関西弁が好きで、一頃はえらいはまっていた。タイトルがいいよね、タイトルが。同僚に関西人の「よう知らんけど」が嫌

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【積読日記7】まっすぐ帰るのもちょっとなぁという金曜の夜/韓国が嫌いで

【積読日記7】まっすぐ帰るのもちょっとなぁという金曜の夜/韓国が嫌いで

なんかまっすぐ帰るんはちょっとなぁ……という日がある。仕事で頭を使ったつもりやったのに何も進んでなくて、前によく行ってたラーメン屋さんでハイボールも飲んだけどちょっと落ち着かへんくて、駅までの道で妙に周りを気遣える酔っ払いとすれ違い、帰宅ラッシュは終わってるけど、夜の予定が終わってから帰るにはまだ早い、なんか妙に空いた電車で自宅の駅に着いた金曜日とか。そんなときの選択肢その1、どっかで軽く飲み直し

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【積読日記6】航海の歴史/物語創世/ラグビーの世界史/文学問題(F+f)+/WTF経済

【積読日記6】航海の歴史/物語創世/ラグビーの世界史/文学問題(F+f)+/WTF経済

分厚い本っていいですよね。持ち運びがどうとか、重さがどうとかありますけど、手が攣るように本を読みたい。5冊合わせて2,400ページほど。並ぶと一番端の文庫の薄いこと薄いこと。

ちらっとうつっているその文庫はヴィトゲンシュタインの「論理哲学論考」。語りえぬものについては~ってやつですね。誰かがね、この古典新訳文庫のやつがいいって言ってたんですよ、誰やったかな……。はさんである栞を見る限り、新宿のブ

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【積読日記5】ローマ亡き後の地中海世界/ブルボン朝/ハプスブルク帝国/「棲み分け」の世界史

【積読日記5】ローマ亡き後の地中海世界/ブルボン朝/ハプスブルク帝国/「棲み分け」の世界史

母が積読にしていたロードス島攻防記を手に取ったのが塩野七生さんへの入り口でした。たぶん小学校6年生とか、中学入ったとことかそれぐらい。そうしたうちに川原泉の漫画でチェーザレ・ボルジアの話があって、塩野七生のチェーザレの本を読んだり、「海の都の物語」、「十字軍物語」、最近文庫になった「皇帝フリードリッヒ二世の生涯」をはじめ一通り読んでいます。その流れで「あぁ、続きが出た」と思って買ったあと、読めずに

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【積読日記4】hibi//ジョン/本屋の本当/新しい目の旅立ち

【積読日記4】hibi//ジョン/本屋の本当/新しい目の旅立ち

ペースは決めてないし、まして買うたびに書いていたら更新の頻度にも限界はあるので、次は前から積んでるものを書くつもりだけれど、「分けた」と書いたから少し日が空いてしまったことは反省しています。
今日は1/31-2/1に開催された「二子玉川 本屋博」で購入したものを中心に。

『hibi/ ーーどこにいても本屋』
https://www.habookstore.com/%E5%87%BA%E7%89%

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【積読日記3】ポスト・サブカル焼け跡派/2010s/モヤモヤの正体/ロバート・ツルッパゲとの対話/Number

【積読日記3】ポスト・サブカル焼け跡派/2010s/モヤモヤの正体/ロバート・ツルッパゲとの対話/Number

さすがにそろそろ財布がヤバい気がする。スペースはまだある。でも新刊は待ってくれない。と、思ってた矢先に3年前にもこんなことを書いていた。っていうかFacebookで時々7年前の投稿とか見せられるといつの間にそんなに月日が!という気持ちになりませんか。

今週は併せて読んだらええんちゃうかと2冊になった本、偶然出会った本、待ってた本、そして雑誌が仲間入りしました。昨日本屋博で買った本や今日届いた本も

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【積読日記2】かたちは思考する/表現のエチカ/それを、真の名で呼ぶならば/自家中毒

【積読日記2】かたちは思考する/表現のエチカ/それを、真の名で呼ぶならば/自家中毒

思いもよらぬ理由で引っ越すことになってしまったのだけれど、引っ越してよかったと思うことの一つに、最寄りの本屋さんが23時まで営業している、ということがある。2フロア、750坪のうち550坪あまりが本のスペースで、あとは文具とカフェ。そこそこ大きいけれど、子供が遊べるスペースもあったり、でも品揃えや面出ししているに「おっ」と思わせるものもあり、今のところ非常に好感を持っている。
残業を頑張った日、ち

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【積読日記1】文藝/未来をつくる言葉、彼女は頭が悪いから/ハイ・フィディリティ

【積読日記1】文藝/未来をつくる言葉、彼女は頭が悪いから/ハイ・フィディリティ

定期購読している。とっくに発送されていたんだけれども、前に住んでいたところに届いてしまったので、ようやく手元に。毎回次号が出るころに読み終えているので、きっと今回もそういうペースになると思う。

ドミニク・チェンさんのことを知ったのは、12年前に写真美術館でやっていた「文学の触覚」展に展示されていたタイプトレース。テクノロジーと文系的な知をつなげる人だと思っている。

たぶん上野千鶴子さんの東大入

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