【積読日記12】読めない本しかないから

たびたび登場する近所の本屋さんは2フロアで、緊急事態宣言後も営業している。1階は雑誌、文庫、マンガ、文芸書、芸能系、実用書などなど。2階に専門書やビジネス書、文房具がある。最初は営業時間を短縮しただけだったが、先日からついに2階の営業を取りやめた。夜は20時までで、在宅勤務に一区切りつけて、食料の買い出しついでにふらっと立ち寄ると(まさに不要不急!!)、いいか悪いかは別として、そこそこ賑わっている。最近賑わってるところに行くと、「密です」EDMが思い出されますよね。なんなんだ。本当に統計と確率の世界。

そんな中、先週は待っていた本が2冊出た。

2階に在庫された「ファシズムの教室」のほうは店員さんにお願いして取ってきてもらうというスタイル……。なんて言うか、店員さんに「こんなのはないか」と相談して持ってきてもらう感じが近代以前のヨーロッパの商店スタイルみたいで、ちょっとおもしろかった。

何かと不穏な日々は続いていて、出版産業もいよいよもって怪しい。ゆるやかに進んでいた、店舗の減少がある種一気に起こったような状態だし、ECも難しい。DNPの榎町、市ヶ谷、五反田でも…ってのが出ましたが、いよいよ印刷やら製造ラインのほうにも影響出てきたりするんだろう。

とはいえ、それは出版「業界」の話で、もちろん物理的な本を作り・運ぶという行為に絡む以上影響があるには違いないだろうけど、「本を読む」という行為自体はむしろ見直されているのだろうなと思ったりする。そんな時代が進めば、またヨーロッパの商店スタイルのような本屋もありうるのかもしれない。

年間7万点ほど出ている中で読めない本は、いや、本だけじゃなくても読めない記事、見れない映画やドラマ、舞台や美術館、聞けない音楽も、行けなかった場所も溢れていて、こちらを選ばずにそちらを選んでいたらあり得たかもしれない世界、みたいなものがたくさんあるよねー、それでいくと「聞けなかった質問」とかいうとエモいよねー、それでエモいって言うの、なんかおじさん感あるーなんてなんてことを飲み屋で話したりすることもできないので、こうしてぼんやりとした不安の中でとりとめもない日記を一人書いています僕は。

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