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焙煎集

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詩的焙煎の記録
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26.グアテマラ バランカス

26.グアテマラ バランカス

質より量、駆け出しの珈琲屋にできることは、とにかく沢山豆を焼くということ。できる限りたくさんの。ああだこうだ言わずに、淡々と粛々と、焼く、焼き続ける。グアテマラバランカスを今回も中煎りに。気温は24.8℃、弱めの強火で焼き始める。1ハゼは、7分30秒あたりから、9分15秒あたりまで。しっかり爆ぜている音。1ハゼ終わりから中火に落として焼く。2ハゼは、12分15秒あたりから始まり、13分20秒で焼き

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25.インドネシア スーパーマンデリン

25.インドネシア スーパーマンデリン

向こう岸では紫陽花が色鮮やかに咲き誇る。こちらの岸には黒一色の豆粒たちが転がっている。向こう岸に渡る術を持っていないから、豆を黒く焼くしかない。梅雨真っ只中、気温は26.8℃。マンデリンを中深煎りに、前回と火加減を変えて焼いてみる。弱めの強火で焼き始めたので、少し早めに1ハゼが起きる。6分あたりから10分あたりまで。籠った低い音とはっきりとした音が交互に鳴り響く。前回同様、チャフがあまり出ない。中

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24.グアテマラ バランカス

24.グアテマラ バランカス

想像する、想像通りにいく。想像する、想像とは違う。想像する、想像を超える。二度と同じ珈琲はつくれない。だから今日も焼く。グアテマラバランカスを中煎りに。全体的に小粒な印象の豆。気温、22.3℃。強めの中火で焼き始める。1ハゼは、6分30秒あたりから8分40秒まで、ひとつひとつはっきりとパチッと鳴る。1ハゼの終わりから中火に落として焼く。2ハゼは、13分50秒あたりからピチピチッと細かく鳴る。焼き止

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23.インドネシア スーパーマンデリン

23.インドネシア スーパーマンデリン

どんな世界にも正解はない。どんな世界で生きようとも自分で正解をつくる。どんな世界になっても自分で問いを出し正解を見出し答え合わせをする。今日の問題は、インドネシアスーパーマンデリン深煎り。正解への過程を考える。気温は、22.3℃。強めの中火で焼き始める。1ハゼは、8分10秒あたりから10分あたりまで。強い音の後に弱い音が鳴る。中火に火加減を落として、手網を振る。2ハゼは、16分40秒あたりから始ま

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22.コロンビア サンアウグスチン

22.コロンビア サンアウグスチン

暑い日も寒い日も、晴れた日も雨の日も、なんでもない日もなにかある日も、珈琲を焼き、珈琲を挽き、珈琲を淹れる。気温は19.1℃、中煎りを目標に、弱めの強火で焼き始める。1ハゼは、少し早めの6分50秒あたりから、10分あたりまで。少し火を落として、強めの中火で焼く。2ハゼは、11分40秒あたりから、中煎りの焼き止めは難しい。浅くもなく深くもなく、その真ん中。13分10秒で焼き止め。華やかさを持った香り

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21.ブラジル ラゴア ボイヤ

21.ブラジル ラゴア ボイヤ

昨日焼いた、今日も焼く、明日も焼くだろう、地球最後の日だとしても。やっぱり深煎りが好きだから、ブラジルを深く焼く。気温は19.1℃、焙煎日和。強めの中火で焼き始める。1ハゼは、9分40秒あたりから10分40秒あたりまで。ほんの数回爆ぜる音がしただけで終わった。中火に落としてみて焼き続ける。2ハゼは、14分40秒あたりから始まり、こちらはしっから爆ぜている様子。18分ちょうどで焼き止め。僅かに香るナ

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20.コロンビア サンアウグスチン

20.コロンビア サンアウグスチン

続けることで辿り着く場所もあれば、やめることで行き着く場所もある。続けたいから、続けるし、続けるから、続いていく。続けることで辿り着いた場所から見える景色を見てみたい。だから続ける。だから今日も焼く。深煎りにしたい。気温21.0℃、ちょうど良い気候、一年中これくらいの気温だったらいいのに、と思う。四季それぞれの良さは残しつつ。都合が良すぎる。中火で焼き始める。1ハゼは、9分20秒あたりから12分あ

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19.エチオピア イルガチェフ ウォッシュド

19.エチオピア イルガチェフ ウォッシュド

今日も焼く、明日も焼きたい、明後日もその次の日も焼きたい、来年も再来年もそのまた次の年も、10年後も焼いていたい、できることなら。今日は今日の豆を焼く、明日は明日の豆を焼く。明日は明日の風が吹く。イルガチェフを中深煎りに。気温29.5℃、「暑い」が思うより先に口から溢れる。暑い。ブラジル同様、中火で焼き始める。8分10秒あたりから、1ハゼが起きる。バチンという強く重い音に脇汗の気持ち悪さはどうでも

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18.ブラジル ラゴア ボイヤ

18.ブラジル ラゴア ボイヤ

春と夏の間、微風の吹く縁側で寝ていた昼下がり、強い陽射しに起こされると、夏のはじまりはもうすぐそこまで来ている。気温28.2℃、半袖短パンで豆を焼く。ブラジルを中深煎りに。ピッキング、火加減、冷却、保存、最初から最後まで丁寧に。感覚だけに頼らないで数字を見なければならないし、感じながら考えなければならない。中火で焼き始め、8分30秒あたりで1ハゼが起きる。特徴的な音はなく、一般的というか普通の音が

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17.インドネシア マンデリン トラジャ

17.インドネシア マンデリン トラジャ

雨が降る。アスファルト、屋根、雑草、サドル、土、雨水に濡れたものたちの湿ったにおいを覆い尽くすような珈琲の香りが、あのアパートの一室から漂っている。天気は雨、気温16.5℃、焙煎日和、マンデリンを深く焼く。1ハゼが終わるまでは強めの中火、1ハゼ終わりから中火に落として、焼く。ちょうど8分で1ハゼ、パキッというはっきり小気味いい音が鳴る。9分50秒あたりまで続く。ここで中火に落とす。12分10秒あた

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16.エチオピア イルガチェフ ウォッシュド

16.エチオピア イルガチェフ ウォッシュド

好きなことの中にも嫌いなことはあるし、楽しいことの中にも面倒くさいこともあるし、やりたいことの中にもやりたくないことはある。0か100でも、白か黒でもなく、その間のグラデーションがあるだけ。浅煎りか深煎りか、あるいは中煎り、中深煎り、極深煎り、のような点ではなく、その間があるだけ。点ではなく間。中煎りと中深煎りの間を目指して、イルガチェフを焼く。気温17.0℃、春から初夏へ季節は巡る。強めの中火で

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15.インドネシア マンデリン トラジャ

15.インドネシア マンデリン トラジャ

続ける、続けるほど続いていく。昨日と変わらないことを今日も続け、明日に続く。変わらないことが変わっていく。だから続ける。豆を焼く。マンデリンをリベンジすべく。気温18.9℃、火元に立てば汗ばむようになった。季節も当然のごとく春から夏へ続いていくんだ。強めの中火で焼き始める。台所の窓から微風が入る。7分50秒あたりから1ハゼが始まる。決して大きくないけれど、焼けているとたしかに声を上げている。小さな

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14.タンザニア・フルーツマウンテン

14.タンザニア・フルーツマウンテン

焼く、挽く、淹れる、飲む、同じようにみえることの繰り返し。毎日同じようなことではあるけど、毎日少しずつ違うことの繰り返し。繰り返しを繰り返す。季節が変わり、時代が変わり、世界が変わっても、或いは変わらなくても、繰り返す。今日も焼く。前回深煎りに焼いたタンザニア・フルーツマウンテンを中煎りに。名前から連想するに、恐らく果実味が特徴的な豆なのだと思う。味と香りに果実味をもたらせたらいいのだけど。気温1

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13.ペルー オルテギア

13.ペルー オルテギア

焙煎における失敗とは何だろうか。成功も失敗もない、そう言えばそうなのだが、そう言って仕舞えばそれまでなんだろう。正解も間違いもない、成功も失敗もない、なんて容易く言いたくない。美味しいと思ってもらえるものをつくりたい。前回深く焼き過ぎて失敗したペルーを中深煎りに。気温は13.4℃と少し低め、色の変化を見逃さないように中火で慎重に焼き始める。1ハゼは、9分20秒あたりから始まる。前回同様、爆ぜる音は

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