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13.ペルー オルテギア

焙煎における失敗とは何だろうか。成功も失敗もない、そう言えばそうなのだが、そう言って仕舞えばそれまでなんだろう。正解も間違いもない、成功も失敗もない、なんて容易く言いたくない。美味しいと思ってもらえるものをつくりたい。前回深く焼き過ぎて失敗したペルーを中深煎りに。気温は13.4℃と少し低め、色の変化を見逃さないように中火で慎重に焼き始める。1ハゼは、9分20秒あたりから始まる。前回同様、爆ぜる音はあまり大きくない。手網を振るのもだいぶ慣れてきた。1ハゼは、11分50秒あたりまで続く。前回は1ハゼが終わってから間も無く2ハゼが始まったが、今回は少し間があり14分20秒あたりから始まる。網を振る、網を開ける、色を見る、網を振る、網を開ける、色を見る、繰り返す、焼き止める。直火手網焙煎は、焙煎翌日でも香りと味がしっかり出やすい。稀に焙煎後数日寝かせておく方が良い豆もあったりしたが。マイルドで柔らかい味わい。初夏の朝、小さな公園にある小さな木の下で木のベンチにぼーっと座っているような珈琲。「時間をかけて丁寧に大切に手作りしました」と保険をかけなくても、美味しいと心から思ってもらえるものをつくっていく。

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