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トイレ掃除で会社がよくなる

こんにちは、ラン丸(@sign45917948)です。

整理、整頓、掃除、清潔、躾をまとめて「5S」といいます。

これは、日本企業独自のもので、欧米ではそれほど知られていないそうです。

その根底にあるのは、「掃除をすると社員が成長する」「掃除をすると会社の業績がよくなる」という考え方です。

しかし、日本においても5Sの効用が理論的に語られることはまれで、「何となくよさそうだ」という理解に留まっているのが現状です。

ここに学問のメスを入れているのが、日本大学経済学部の大森信教授です。

著書『トイレ掃除の経営学』ではトイレ掃除が持つ経営学上の意味と事例について解説しています。

今回は、「トイレ掃除で会社がよくなる」、その理由について解説していきます。

掃除が企業にもたらす「効用」

日本には、掃除を大切にしている会社が多く存在しています。

なぜかといえば、掃除が会社をよくするからです。

掃除をして身の周りが整えば、仕事の効率がよくなり、生産性がUPする。

これは多くの人が想像しやすい直接的な効用ですよね。

しかし、掃除には、それ以外に間接的な効用があり「売上げの向上」や、
「社員達のモラル、チームワーク、連帯感の向上」といった効果につながっています。

この間接的な効用、ポイントは「掃除が社員を変える」ということです。

掃除を通して3段階で「人財」が育成される

掃除が社員を変える?なぜでしょうか。

その理由の1つは、掃除を社員が繰り返すことで組織の一体感や仲間意識が養われていくことにあります。

「社員達のモラル、チームワーク、連帯感の向上」はここから生まれます。

しかし、重要なポイントは、掃除が社員たちに様々な気づきをもたらすということです。

最初は上司に言われてやむなく掃除を始める社員が大半ですが、身の周りが綺麗になれば素直に嬉しいですよね。

掃除はやればやっただけ目に見えるかたちで成果が現れる作業ですから、達成感や充実感が得られやすいのです。

組織の一体感と、働く個人の達成感や充実感。

そして、掃除を通じて身の周りの設備や備品に注がれる愛着は、やがて会社全体に対する愛着として育っていきます。

その結果、社員のモチベーションが底上げされ、掃除のみならず仕事そのものにも一生懸命に取り組むようになります。

そして、結果的に売上げの向上につながっていくのです。

社員の変化はそれだけではありません。

掃除を身の周りに限るとすぐに終わり、やがてマンネリがやってきます。

「たかが、掃除なんて。」と疑問に感じるときがきます。

しかし、その疑問を乗り越えて掃除を続けていると、「他人のため」に掃除をする、人に喜んでもらうために掃除をする段階に進みます。

つまり、自分のためにとやっていた掃除に対して抱いていたマンネリ化を、他人のためにと意識を転換することで打破していくことになるのです。

すると、「自分の机が綺麗になれば満足」と感じていただけだったものが、
他人が使う共有部分も綺麗にしないと満足にならない状態になってくるのです。ここで生まれるのが、利他の精神です。

自分のためだけではなく、他者のために掃除をするようになる。

他者のために働くことに、喜びを感じるようになる。

ついには、特定の誰かのためではなく、自分と他人の区別なく「仲間のため、会社のため、お客様のため」という意識が芽生えてくるようになるわけです。

こうして、社員は掃除を通じて3段階の変化を見せていくことになります。

1)自分のために自分が懸命になる(利己・自力)
2)他人のために懸命になる(利他・自力)
3)特定の誰かのためではなく、すべての人のためにあらゆることを引き受けて全身全霊で取り組む(利他・他力)

1つの会社には、この3段階の社員が共存しているのが理想的な状態です。

組織全体の視点で考えると、

1)は、目の前の仕事に懸命に取り組む人材
2)は、その仕事が顧客のためになっているか判断するのに適した人材
3)は、さらに広く長期的な視点であらゆる課題を持ち込む人材

と言い換えることが可能です。

これこそ強い企業に不可欠な「3種の人財」です。

よく、「視座が高い」といわれますが、この視点が大切になってきます。

まず、やってみる姿勢

最も、「会社がよくなるので掃除をしましょう!」と言ったところで、経営者にしろ社員にしろ、疑問を持ち続ける人が大半です。

会社をよくする方法は掃除以外にもあります。

「掃除をしたら会社がよくなる」とすぐに目に見えるかたちで効果が現れるものでもありません。

そもそも仕事と掃除は直接関係のないものです。

忙しく働いている社員が急に「掃除をしろ」と言われても、納得できないでしょう。

特に、サラリーマン思考、時給のために仕事をしている人はなかなか理解できないところでしょう。

「会社を良くする」意味での掃除は、「手段志向」で行う必要があるということです。

手段志向とは、特定の目的と直結していない、また結果との因果関係が明らかでない手段を大切にすること。

ひと言でいえば「まず、やってみる」という考え方です。

このように事前に目的を説明できないことを現代人は敬遠しがちです。

現代は「目的志向」がメジャーなのが現実です。

私たちは、多くの知識を本やネットから吸収し、「この結果が得られるから、このプロセスを踏もう」と意思決定します。

ある意味、頭でっかちになっています。

そうすると「まず、やってみる」ことが難しくなるわけです。

そんな状況の中で社員に掃除をしてもらうためには、社員に命じる前に経営者自らが掃除をしてみせることが一番です。

でなければ、目的が判然としない掃除を命令だけで組織に根付かせるのは難しい。

社長1人に掃除をさせるわけにはいかない。

そんな思いで社員たちも掃除を始める。

最初は疑問でいっぱいなのが普通だと思います。

しかし、続けているうちに、達成感や他人への奉仕の気持ちが芽生え、「なぜ掃除をするのか」を身体で理解していく。

こうしたプロセスを経て組織に掃除が根付いていきます。

一飛びには、掃除の習慣を根付かせることはできないのです。

私も、前職で掃除は自らしていましたが、身体で覚えるのは簡単ではなかったです。

現在、掃除を大切にしている経営者にしても、決して最初からそうだったわけではありません。

ほとんどは、本も読んでコンサルタントの意見も聞き、それでも会社がよくならない、一体どうしたらいいんだろうということで最後、藁をも掴む思いで、掃除を始めてみます。

こんなふうに「まず、やってみる」ことでしか得られない知識というのが存在するんですね。

知識には、暗黙知形式知という2つがあります。

形式知を頭で学ぶ知識とするなら、暗黙知は身体で学ぶ知識と言い換えられます。

掃除はこの暗黙知に属するものです。

暗黙知は身体を通じて得られるものであり、本やネットで読んだだけでは身につきません。

頭に偏らず、身体も動かして知識のバランスをとる。

その手段として掃除がとても有効です。

イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんが始めた「新宿掃除の会」という会があるそうです。

朝早起きして新宿を1時間掃除するんですが、参加者にとって目に見えるメリットはないんですよね。

お金をもらえるわけでもないし、感謝されるわけでもない。

しかし、そこに結構な数の若い人も参加して、一生懸命掃除をしています。

きっと無意識に身体が欲しているんです。

ネットのなかだけでは得られない情報、普通に仕事をしているだけでは得られない充実感が、そこにあるのではないか、と。

トイレ掃除が社長の経営哲学を社員に伝える契機に

掃除のなかでもトイレには、掃除の効用が凝縮されています。

理由はトイレが共有部分であることです。

つまり、トイレはあなたの場所でもあるし、私の場所でもある。

あるいは逆に、私がやらなくてもいいし、あなたがやらなくてもいい掃除とも言える。

トイレがきれいな会社はメチャクチャきれいですし、汚い会社はすごく汚い。

会社に掃除の習慣が根付いているかどうか、トイレを見れば一目でわかるわけです。

そのためか、カリスマと言われる経営者がトイレ掃除を大切にしている例がいくつもあります。

普段、家だけでなく外で使用するトイレ一つでも、モノの見え方が変わってきますので観察してみてください。

経営者に大切なのは、

「凡事徹底(当たり前のことを徹底して行うこと)」
「率先垂範(自ら手本を示すこと)」

このことだと思います。

私が面白いと思うのは、人それぞれトイレ掃除に求めるものが違うということです。

どれが正解かといったらどれも正解。

「うちの会社はこういう意味でトイレ掃除をしているんです」という独自解があるだけです。

掃除によって社員が変わるという話をしましたが、変わるのは社員だけはありません。

掃除は経営者自身が「どう仕事に向き合うか」「会社として何を大切にするのか」考え、それを社員たちに伝えるいい材料にもなります。

掃除の効用は、働き手にとってすぐ腑に落ちるものではないものかもしれません。

それでも、「まず、やってみる」。

そして、「やれば、わかる」ようになります。

掃除をし続けることによって社員が育ち、会社が成長する。

また掃除は、社員の人生をも変えうるものです。

そこに充実感を得て、やりがいある毎日と、身体を動かすことでしか理解できない暗黙知を手に入れる。

経営者も自身の経営観を磨いていく。

ここに、日本企業が掃除に注目する理由があると考えています。

私は、掃除ではなく清掃を仕事にしていましたので汚れを見落とさない姿勢が、誤字脱字などのチェックに生かされていると実感しています。

ぜひ、実践していただけたら嬉しいです。

今回は、以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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