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Nakano Nanae
2022年8月21日 12:51
夢の中で、私は時々男の子で、海の見える学校に通っていた。一人目の友達は、夏休みの前に転校してしまった。二人目の友達は、空想上の家族に手紙を書いていた。三人目の友達は、新月の夜について話してくれた。四人目の友達は、「かしこい兎」と呼ばれていた。五人目の友達は、この町のことを何でも知っていた。六人目の友達は、一人目の友達とよく似ていた。七人目の友達は、飴玉みたいな声で笑っていた。七人
2022年7月22日 10:21
ずっと見つめていないと、消えてしまいそうだった。ずっと見つめていたところで、どうせ消えてしまうんだけど。「朝になるといなくなる星みたいでしょう。」だったら星の寿命ぐらい、長生きしてくれたらいいのに。朝になっても、私が死んだあとも、ずっとそこで、光っていて。
2022年6月11日 09:51
君が撮る写真は、いつも遺影みたいだった。花も、空も、動物たちも、ぼくも、ファインダーの中で息絶えて、いつでも永遠になれたんだ。
2022年6月6日 21:13
青い空、海の底のように青すぎる空に、鮮やかな、混ざったことのない絵具のような色の風船が飛んでいく。君が手を放したのは一度だけなのに、私は何度も何度も、その風船が飛んでいくのを見ている。瞳の奥で、脳の裏側で、心臓の端っこで、あるいは名前も知らない器官のどこかで。千回見送ったあと、千一回目の風船を眺めながら、ああ、これが永遠なんだ、と思った。
2022年5月25日 19:46
神様も、天使も、死神も、みんな同じような顔をしている。見分けがつかないと言うと、見分ける必要はないと言われた。望んでいたはずの終わりはあまりに呆気なく、危うく通り過ぎてしまうところだった。神様との決別の日。(日付は何度も書き直している。)あと何回思い出すのでしょうか。今日のことを。思い出すたび、鉛が砂に沈むように、少しずつ胸に押し込まれて、いつかは見えなくなるのでしょうか
2022年5月24日 17:31
新しい王子様が産まれたので、その日は国民の祝日になった。でもほんとうはずっと前から、私だけの記念日だったのに。新しい王子様はどろぼうだ、どろぼうだ。そう言って、大声で泣きながら歩いていたら、いつのまにか牢屋に入れられてしまった。私がここにやってきたのは、そういうわけなのです。
2022年5月18日 01:23
壊れた階段の先にある壊れた窓、それは壊れた月です「満月を叩き割りたい、完璧は嫌い、未来がないから。」そう怒って泣いていた、君のための月です
2022年5月15日 22:44
みんなが想像している太陽と、私が想像している太陽は、まるで別物みたいだ。月もそう。星は、なんとなく似た形をしているようだった。だから最近は、星の話ばかりしてしまう。星の話をしている時だけは、みんなと同じになれたような気がして。
2022年5月14日 21:53
天気予報が外れただけで何をすればいいのか分からないし、昔好きだった人のことを何て話せばいいのか分からない。ぼくたちはぼくたちの上に降り注ぐ雨の色を知り得るか?水で洗えば、すべて綺麗になるとでも思っていそうな土砂降り。低気圧だったから。「また会いましょう」という社交辞令が、どうしても言えなかった。知らない間に水溜まりができて、知らない間に乾いた道路は、きっと昨日と同じにしか見え
2019年5月11日 07:53
これはぜんぶ昔の話。そしてこれから起こるかもしれない話。この物語は実話ですが、フィクションだと思っていただけると幸いです。どんな店でも半年で潰れる四つ角を曲がり、黒猫が横切るの確認したら、私の家はもうすぐそこである。友人の結婚式に出る度に「こんな人と暮らすくらいなら一人がいいなぁ」と思い続けてきたけれど、たった一度だけ「羨ましい」と思ったことがあった。いつまでこの世界にいなければ