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特許法156条、157条 審理終結通知、審決


1.概要

 審判審理は、当事者が口頭審理に参加していない場合であっても、職権で進行させることができます。このため、当事者が知らないうちに審決がなされることを防止するため、審決できる状況になった段階で審理終結通知がなされます

 例外として、審判請求人に不利にならない場合は、審決前の審理終結通知を省略できます。具体的には、(i)拒絶査定不服審判の請求認容、(ii)補正却下不服審判の請求認容、(iii)訂正審判の請求認容(全て認容)、の場合には、審理終結通知を省略できます。この通知の効力は、通知が当事者、又は、代理人に到達した時に発生します。

2.審決は、審理終結の通知を発した日から二十日以内になされないこともありうる

 審決は、審理終結の通知を発した日から二十日以内にしなければならないとされています(特許法156条4項)。

ただし、「ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。」(特許法156条4項)とされていますので、審理終結の通知を発した日から二十日以内というのは義務ではないですね。

 裁判例(大判大 14.4.17(大 14(オ)165 号)でも、現在の特許法156条4項は訓示規定であって、この期間内に審決をしなかった場合でも手続の違法の問 題は生じない旨の判断が示されているようです。

・特許法156条

(審理の終結の通知)
第百五十六条 審判長は、特許無効審判以外の審判においては、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。
2 審判長は、特許無効審判においては、事件が審決をするのに熟した場合であつて第百六十四条の二第一項の審決の予告をしないとき、又は同項の審決の予告をした場合であつて同条第二項の規定により指定した期間内に被請求人が第百三十四条の二第一項の訂正の請求若しくは第十七条の五第二項の補正をしないときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。
3 審判長は、必要があるときは、前二項の規定による通知をした後であつても、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審理の再開をすることができる。
4 審決は、第一項又は第二項の規定による通知を発した日から二十日以内にしなければならない。ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。

・特許法157条

(審決)
第百五十七条 審決があつたときは、審判は、終了する。
2 審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
一 審判の番号
二 当事者及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
三 審判事件の表示
四 審決の結論及び理由
五 審決の年月日
3 特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

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