名板貸契約(ないたがしけいやく)

 自己の商号を使用して営業することを、他人に許諾する契約のことです。名板貸契約は、看板貸契約と呼ばれることもあります。

 名板貸契約がなされると、他社が自社の商号を使って営業することになります。このような場合、名板貸をした者は、名板貸をされた者の行為について責任を持たなけばなりません。この責任を名板貸責任といいます(商法14条、会社法9条)。

※名板貸責任が問われる場合、単に商標権の使用許諾をしただけということにはなりません。

フランチャイズの場合は、特に、この名板貸にならないように注意すべきです。具体的には、フランチャイザー(フランチャイズ本部事業者)の商号を、フランチャイジー(フランチャイズ加盟店)に使わせる名称にすると、本部事業者が加盟店の取引について責任を取らなければならないケースが出てきます。

 例えば、「チェロキー中古車売買契約事件」(神戸地裁尼崎支部 平成12年(ワ)第652号)では、本部事業者の商号は「ユーポス株式会社」であり、加盟店の名前は、「ユーポス尼崎店」でした。

このケースでは、加盟店が、顧客から自動車を買い取って、自動車代金を顧客の代わりにクレジットカード会社(日本信販)に返済する義務を負っていましたが、会社経営が行き詰まり、自動車の代金をクレジットカード会社に返済できなくなりました。このため、顧客が、ユーポス尼崎店、及び、ユーポス株式会社に対して、支払った手数料と自動車代金の返金を求めた裁判を起こしています。

 この裁判では、ユーポス株式会社は取引に関係していなかったのですが、ユーポス尼崎店が受け取った手数料と自動車の代金を、ユーポス株式会社が支払わなければならない旨の判断が示されました(判決文)。

 このため、フランチャイズの加盟店には、本部事業者とは異なる名前を使ってもらうべきです。

 例えば、株式会社すかいらーくレストランツは、現在、「ガスト」「バーミヤン」というチェーンを展開していますが、昔は「すかいらーく」というレストランチェーンを展開していたと思います。「すかいらーく」ではなく、「ガスト」「バーミヤン」という店舗名にするのは、名板貸を避けるという点でも、意味があることです。

・会社法9条 自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任

(自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任)
第九条 自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

・商法14条 自己の商号の使用を他人に許諾した商人の責任

(自己の商号の使用を他人に許諾した商人の責任)
第十四条 自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

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