特許法100条 差止請求権
1.概要
差止請求とは、特許権が侵害され又は侵害されるおそれがある場合に、その侵害の停止又は予防を請求することをいいます(100条1項)。ここで、侵害とは権限なき、又は正当理由なき第三者が業として特許発明を実施すること(68条)、又は、一定の予備的行為をすることをいいます(101条)
差止請求権は、侵害行為を未然に防止し又は早期停止を図り、将来における損失の拡大を防止するものであり、侵害予防対策として最も有効かつ、直接的な救済手段といえます。迅速な救済を受けるため、仮処分の申請が効果的です。
(ただし、仮処分後に特許無効確定等により侵害行為でなくなった場合、損害賠償責任が生じる可能性あり)
・差止請求は侵害者が善意であってもできます。
これは、侵害の要件は、権原なきなき第三者による業としての特許発明の実施(68条)等であり、善意か否かや、故意や過失は関係しないからです。
1.1.差止請求権の発生要件
(1)原告が特許権者であること
判決の基準時である事実審の口頭弁論終結時に原告が特許権者であることを要する(100条1項)。原告は特許番号で特許を特定し、この特許権を有すると主張する。被告がこれを争わない時は、権利自白となって、原告がそれ以上の主張をする必要はない。
(2)被告が業として特許発明の実施をしていること、又は実施するおそれがあること(68条)
権利濫用の防止のため、おそれには、客観性が必要。被告の特許発明の実施が「違法」であることは、原告の主張立証責任には属さない。被告は抗弁として、「適法」であることを主張立証することを要する。
・警告により侵害の中止を求めることもできます。警告後の侵害は故意の侵害となります。
1.2.抗弁など
・先願権利の抗弁
同一発明に対して複数の特許権がある場合、先願優位の原則より、先願権利者は後願権利者から権利行使を受けることはない。差止請求の際には、自らが先願特許権を有していることを抗弁として、自己の権原の主張ができます。
※この場合は、104条の3の抗弁も可能と思われます。
2.その他
・差止請求を受けた場合、製品の製造まで止められることがあります。このため、差止請求がなされた場合、差止請求権不存在確認訴訟で確認を受け、確定させる必要があります。
・差止の一部請求はできないとされています。このため、一部請求の必要がある場合には、損害賠償請求の一部請求をして、侵害が認められれば差止請求もするのが現実的といえます。
・特許法100条
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