著作権法30条の2 不随対象著作物

 不随対象著作物というのは、例えば、ニュース動画等の背景に移りこんだ絵などの著作物のことです。このため、付随対象著作物は、「写りこんだ著作物」と呼ばれることもあります。

 具体的な定義としては、付随対象著作物とは、写真の撮影、或いは録音又は録画の方法(写真の撮影等)によって著作物を創作する際に、写真の撮影等の対象(被写体等)になる事物等との関係で写真等著作物における軽微な構成部分となる著作物です(著30条の2第1項)。

 不随対象著作物は、
①写り込んだ他人の著作物を分離することが困難であり(分離困難性)、
②作成する写真や動画等への写り込んだ他人の著作物の影響が軽微であり(軽微性)、
③写り込んだ他人の著作物の著作権者の利益を不当に害しない(利益不侵害性)、
場合に、いずれの方法によるかを問わず利用することができます(著30条の2第1項)。

 利益不侵害性の判断は、著作権者の著作物の利用市場と衝突するか,あるいは将来における著作物の潜在的販路を阻害するかという観点等から,最終的には司法の場で個別具体的に判断されようです(文化庁HPより)。

文化庁HPには、以下のように記載されていました('23/05/16)。

 本条第1項で,「分離することが困難である」とあるのは,ある著作物(写真等著作物)を創作する際に,創作時の状況に照らして,付随して対象となった他の著作物(付随対象著作物)を除いて創作することが,社会通念上困難であると客観的に認められることをいいます。
 また,「当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る」とありますが,「軽微な構成部分」であるか否かは,著作物の種類等に照らし,個別の事案に応じて判断されるものであり,予め定量的な割合が決まっているものではありません。
 さらに,同項ただし書では,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合はこの限りでない」とされており,著作権者の著作物の利用市場と衝突するか,あるいは将来における著作物の潜在的販路を阻害するかという観点等から,最終的には司法の場で個別具体的に判断されることとなります。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/utsurikomi.html

・著作権法30条の2 付随対象著作物の利用

(付随対象著作物の利用)
第三十条の二 写真の撮影、録音、録画、放送その他これらと同様に事物の影像又は音を複製し、又は複製を伴うことなく伝達する行為(以下この項において「複製伝達行為」という。)を行うに当たつて、その対象とする事物又は音(以下この項において「複製伝達対象事物等」という。)に付随して対象となる事物又は音(複製伝達対象事物等の一部を構成するものとして対象となる事物又は音を含む。以下この項において「付随対象事物等」という。)に係る著作物(当該複製伝達行為により作成され、又は伝達されるもの(以下この条において「作成伝達物」という。)のうち当該著作物の占める割合、当該作成伝達物における当該著作物の再製の精度その他の要素に照らし当該作成伝達物において当該著作物が軽微な構成部分となる場合における当該著作物に限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該付随対象著作物の利用により利益を得る目的の有無、当該付随対象事物等の当該複製伝達対象事物等からの分離の困難性の程度、当該作成伝達物において当該付随対象著作物が果たす役割その他の要素に照らし正当な範囲内において、当該複製伝達行為に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 前項の規定により利用された付随対象著作物は、当該付随対象著作物に係る作成伝達物の利用に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

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