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担保物件の追及効・追及力

 追及効(追及力)は、担保物権の効力の一つです。

 追及力は、担保物権の目的財産の所有権が債務者又は設定者から第三者に移転した場合、この第三者に対しても、担保物権を主張できる効力です。

よく聞く例が、抵当権を設定した家を、抵当権者以外の債権者から差し押さえられるのを防止するために、家の所有権を他人に移転するケースです。抵当権者は家(不動産)そのものを担保にとっているので、家(不動産)の所有権が誰に移ろうとも関係なく不動産を処分・競売できます。これが追及効の例です。

 担保物件の追及項は、物権の直接支配性、物権の排他性、物権の優先的効力、から導かれます。

 物権には直接支配性があるので、物権には排他性(物から排他的に利益を受けられる)もあります。物権の排他性から、物権には優先的効力が認められています。

物権の優先的効力としては、①内容が互いに抵触する物権の間では、先に成立した物権が後に成立した物権に優先する効力と、②原則として物権は債権より優先するという効力があります。

担保物権も優先的効力が認められている物権の一種なので、目的物が譲渡等されて、所有者が変わった場合でも、所有者の変更とは無関係に存続して、目的物に追及していくことができます。

※担保物件とは、債権を保全するために設定される物権のことであり、約定担保物権と法定担保物権に分類されます。約定担保物権は、当事者の合意によって設定される担保物権であり、抵当権、質権があります。一方、法定担保物権は、一定の事情がある場合に法律上成立する担保物権であり、先取特権、留置権があります。

ただし、動産を目的とする先取特権(民法303条)は、公示がないため、例外的に追及効(追及力)が制限されています(民法333条)。

・民法333条 先取特権と第三取得者

(先取特権と第三取得者)
第三百三十三条 先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。

・民法303条 先取特権の内容

(先取特権の内容)
第三百三条 先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

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