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特許権侵害における差止の仮処分

 特許権侵害がなされている場合において、差止の仮処分が認められる場合、本案判決による場合よりも早期に、本案と同じような内容の差止(給付)が実現できます。

このため、特許権侵害における差止の仮処分は、満足的仮処分断行の仮処分と呼ばれることもあるようです。

ここまでは良い点です。

特許権侵害における差止の仮処分の悪い点として、基本的に担保や保証金が必要である点があります(民事保全法14条)。

また、別に本案訴訟を提起するのが原則で、本案訴訟を提起しない場合には仮処分命令が取り消されるケースもあります(民事保全法37条3項)。

ここからは当方の個人的見解ですが、仮処分申し立ても一つの紛争解決手段だと思われます。つまり、仮処分の申し立て自体が、相手方を和解等に誘導する一つの手段ではないかと思います。

・民事保全法14条 保全命令の担保

(保全命令の担保)
第十四条 保全命令は、担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施の条件として、又は担保を立てさせないで発することができる。
2 前項の担保を立てる場合において、遅滞なく第四条第一項の供託所に供託することが困難な事由があるときは、裁判所の許可を得て、債権者の住所地又は事務所の所在地その他裁判所が相当と認める地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。

・民事保全法37条 本案の訴えの不提起等による保全取消し

(本案の訴えの不提起等による保全取消し)
第三十七条 保全命令を発した裁判所は、債務者の申立てにより、債権者に対し、相当と認める一定の期間内に、本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出し、既に本案の訴えを提起しているときはその係属を証する書面を提出すべきことを命じなければならない。
2 前項の期間は、二週間以上でなければならない。
3 債権者が第一項の規定により定められた期間内に同項の書面を提出しなかったときは、裁判所は、債務者の申立てにより、保全命令を取り消さなければならない。
4 第一項の書面が提出された後に、同項の本案の訴えが取り下げられ、又は却下された場合には、その書面を提出しなかったものとみなす。
5 第一項及び第三項の規定の適用については、本案が家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二百五十七条第一項に規定する事件であるときは家庭裁判所に対する調停の申立てを、本案が労働審判法(平成十六年法律第四十五号)第一条に規定する事件であるときは地方裁判所に対する労働審判手続の申立てを、本案に関し仲裁合意があるときは仲裁手続の開始の手続を、本案が公害紛争処理法(昭和四十五年法律第百八号)第二条に規定する公害に係る被害についての損害賠償の請求に関する事件であるときは同法第四十二条の十二第一項に規定する損害賠償の責任に関する裁定(次項において「責任裁定」という。)の申請を本案の訴えの提起とみなす。
6 前項の調停の事件、同項の労働審判手続、同項の仲裁手続又は同項の責任裁定の手続が調停の成立、労働審判(労働審判法第二十九条第二項において準用する民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第十六条の規定による調停の成立及び労働審判法第二十四条第一項の規定による労働審判事件の終了を含む。)、仲裁判断又は責任裁定(公害紛争処理法第四十二条の二十四第二項の当事者間の合意の成立を含む。)によらないで終了したときは、債権者は、その終了の日から第一項の規定により定められた期間と同一の期間内に本案の訴えを提起しなければならない。
7 第三項の規定は債権者が前項の規定による本案の訴えの提起をしなかった場合について、第四項の規定は前項の本案の訴えが提起され、又は労働審判法第二十二条第一項(同法第二十三条第二項及び第二十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定により訴えの提起があったものとみなされた後にその訴えが取り下げられ、又は却下された場合について準用する。
8 第十六条本文及び第十七条の規定は、第三項(前項において準用する場合を含む。)の規定による決定について準用する。

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