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もうこの失恋の記憶いらないな。リサイクルショップに売りに行くか
毎日note更新49日目。
先日、夢に15年前に失恋した相手の人が出てきた。
もうずっとその人の事なんて忘れていたのに急にである。
頭の片隅に記憶が残っているのだろう。
失恋の記憶というものは厄介である。
思い出したって楽しくないしロクな事ないのにしぶとく頭に残り続ける。
どこかで買い取ってもらえないだろうか。
失恋リサイクルショップみたいな。
失恋の記憶を値段を付けて買い取ってくれるのだ。
*
ウイーン
店員「いらっしゃいませー!」
に「どうも」
店員「今日は失恋の買い取りですか?」
に「そうですね。いらない失恋の記憶がいっぱいあって買い取って欲しくて」
店員「かしこまりました!ではまず買い取ってもらいたい失恋をお客様にお話しいただいて、それから私が査定いたします!」
に「なるほど」
店員「買い取り成立後、お客様の脳からその失恋の記憶を消しますので!よろしいでしょうか?」
に「はい、お願いします」
店員「失恋の査定に関しましてはシチュエーション、ダメージ、レア度等から判断させていただきます!」
に「レア度て何や、、、」
店員「では、失恋のエピソードをどうぞ!!」
に「さっきからテンション高いな。めっちゃ言いにくいわ、、」
店員「どうぞ!!」
に「え〜これは高校時代の失恋なんですけど。高1の頃好きやったけどあんまり仲良くなれなかった女子と高3でまた同じクラスになるんですよ。
で、今度は前より仲良くなって。
これはリベンジマッチやって事で僕は告白を決意するんです!
2年越しの告白ですよ!
高校卒業の数日前、教室の前の廊下に呼び出すんです。
少しの沈黙の後、僕は言いました。
「ずっと好きでした。付き合って下さい!」
すると相手の子は微笑みながらこう言いました。
「ありがとう。でもごめんなさい」
僕の2年越しの恋はこうして終わりました」
店員「以上でございますか?」
に「はい!これシチュエーションとかね、結構いいと思うんですよ!」
店員「確かに!では、査定しますので少々お待ち下さいね!」
に「了解です!ドキドキするなあ」
5分後
店員「お待たせしました!こちらの失恋のお値段は、、、」
に (ドキドキ)
店員「103円です!!」
に「やっす!!え、マジですか!?」
店員「マジです!」
に「コンビニのおにぎりも買われへんやん!俺の失恋、おにぎり以下なん!?」
店員「申し訳ございません。まずシチュエーションがありきたりすぎますし、断られた相手のセリフも普通ですね。さらに卒業前というのが記念で告白した感じが出ててさらにマイナスポイントです」
に「めっちゃ辛口査定やん!」
店員「レア度も0でございます」
に「そのレア度て何やねん!あ〜もうこの失恋、買い取り辞めときますわ!別の失恋をお願いします」
店員「かしこまりました。では、次の失恋お聞かせください!」
に「大学のスキューバダイビングのサークルにいた一個上の先輩の女子の事が大学一回生の頃から好きやったんですけど、三回生になってからめっちゃ仲良くなるんです!
で、沖縄のすごくいい景色を見ながら二人語り合ったり、沖縄から帰ってからも電話何時間かしたりするんです!
僕と友達が出たM-1グランプリ見に来てくれたり、映画二人で観に行ったりもしました!
で、カフェで告白するんです!
付き合って欲しい、と!
じゃあ相手はこう言いました。
「全然気付かなかった。これからもいいサークルの仲間でいて下さい」
僕のサークルの恋は終わりました。」
店員「では査定してきますね!」
に「これは高いはずやで」
5分後
店員「お待たせしました!54円です!」
に「やっっっす!!さっきよりさらに安い!」
店員「申し訳ございません」
に「何で!?54円てコロッケも買われへんやん!俺のサークルの大失恋、コロッケ以下なん!?え、何が査定に響いたんですか?」
店員「まず先程の失恋もそうでしたが、2年越しのパターンうっとしいですよね」
に「うっとしいて!ただの悪口やん!」
店員「この"一途に想い続けてる俺"みたいなのに酔ってる感じがかなりのマイナスです」
に「激辛やん!」
店員「で、その後の仲良かったエピソードですが、サークルの仲間として仲が良かったのを勘違いする典型的なパターンですよね。これではレア度も上がりません」
に「レア度腹立つな!」
店員「見に来てもらったM-1もツルツルにすべったんでしょ?」
に「何で知ってんねん!もうええわ!これも売らへんわ!こんなボロカス言われる思わんかったわ!」
店員「申し訳ございません」
に「もう最後、とっておきや!これは絶対高いはず!これいい値段で売って帰る!」
店員「かしこまりました!どうぞ!」
に「中学3年生の卒業間近の事です。
僕は好きなクラスメイトの子に告白しようと放課後教室でその子を待っていました。
しばらくするとその子が教室に来ました!
「いざ告白!」と僕は動き出しました。
その瞬間!
前日にちょうど付き合い始めたその子の彼氏が入ってきてました。
その2人を見た僕は慌てふためいてダッシュで逃げ出しました。
そのまま校庭まで駆け抜けました。
その後僕はしゃべった事ない女子からも"告白未遂した人"って影で笑われました。
略して"コクミス"とか呼ばれてました。
これが僕の人生最大の失恋です」
店員「大変でしたね。。。渾身の失恋聞かせてもらいました。心して査定させてもらいます」
に「お願いします!」
1時間後
店員「お待たせしました!凄まじい大作失恋だったため査定に時間がかかり申し訳ございません!」
に「いえいえ!こら期待出来そうやで!」
店員「それではお値段発表します!今回の失恋の価格は!!」
に (ワクワク)
店員「2円!!!」
に「おい!!!」
店員「はい?」
に「何でやねん!安すぎるやろ!」
店員「2円ですね、、、」
に「2円査定するのに何で1時間かかってん!え、てか何でこんな安いんですか?」
店員「この話は告白未遂なので告白すらしてませんので査定は0円です。校庭まで駆け抜けた所は良かったので2円付きました」
に「どこ評価されてんねん!基準が全く分からへん!」
店員「そうですか」
に「人の最大のトラウマとなった失恋が2円て!ドンキホーテやったら小銭ちょっと足らん時レジ横でもらえる額やん!」
店員「そうなんですね」
に「もういいですわ!失恋の記憶売りません!ずっと抱えて生きていく!!」
*
失恋に値段なんて付けるもんじゃない。
いくら辛い思い出だとしても自分を形作った大切な要素なのだ。
僕はこれからも失恋の記憶と共に生きていく。
何じゃ、この終わり方。。。
100円で救えるにっしゃんがあります。