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【書評】『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』

今日は”昭和の日”です。

1926年(昭和元年)から1989年(昭和64年)まで62年間(※)続いた昭和時代において、1931年(昭和6年)から1945年(昭和20年)までの戦争(満州事変・日中戦争・第2次世界大戦・太平洋戦争)は決して忘却できるものではありません。
(※)昭和元年と昭和64年はともに7日間であったため、実際は「62年と14日間」である。

これから紹介する書籍は、戦時下撮影された写真をカラー化させたものをまとめた写真集です。

書籍の紹介

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タイトル:『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』
著者:庭田杏珠・渡邉英徳
出版社:光文社

この書籍では「記憶の解凍」プロジェクトの一環として、1930年代から戦時下&終戦直後の各地の様子・人々を撮影した写真を、AI及び戦争体験者からの取材などをもとにカラー化したものをまとめた写真集であります。

時代によって世相が変わる様子が写真で分かる

1930年代は、本土での戦火はなかったため(大陸での戦争は起きていたが)、”戦争ごっこ”という今からすれば特異な遊びが流行っていたが、子どもたちも特に何事も気にすることなく生活していたようだ。

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しかし、1941年(昭和16年)に真珠湾攻撃でアメリカ・イギリスに宣戦布告すると、(下)一般市民の間にも戦争の影が落ちていった。

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1943年に撮影された下の写真は、「大政翼賛会」による物資の節約・贅沢を慎むことが呼びかけられている。スローガンには『欲しがりません勝つまでは』『撃ちてしやまむ』とあり、国民に戦争意識の普及させていることが分かる。

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しかし、戦況は徐々に悪化し、ついにアメリカとの本土決戦が始まった。下の写真は1945年(昭和20年)3月10日の東京大空襲に向かうアメリカ兵と、空襲後の東京上空を撮った写真です。

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そして、同年5月にドイツが降伏し、連合国軍の対戦相手が日本だけとなると、アメリカは8月6日に広島・8月9日に長崎に原子爆弾を投下しました。
▼広島

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▼長崎

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そして、8月15日、ポツダム宣言を受諾した日本は、昭和天皇による玉音放送で敗戦の一方を国民に伝えました。

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このように終戦までの20年弱で、世の中の世相は大きく変わりました。それに翻弄された人々の様子もこの著書から分かります。

戦争とコロナ

終戦75年を迎えた2020年(令和2年)に発生した今回のコロナ禍。まるで戦時中のような雰囲気に包まれていると評価する専門家もいらっしゃいます。確かに写真を見ていると、現在と似ている部分もあります。

同じ戦時下の状況を扱った本として、旧日本軍の組織体系に焦点を当てた『失敗の本質』があります。

本自体は、企業の組織マネジメント論について、旧日本軍を例にとり述べていますが、現在のコロナ禍における政治のマネジメント・リーダーシップ論にも当てはまるのではないかと思います。だいぶ前に読んでいる本なので、近々再度読み直して、書評にまとめていこうかと思います。

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