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あそびの心をしらない
百日紅の花が風に吹かれて、枝をしならせている。太陽をいっぱい浴びようとしているのか、枝先にばかり集まっていてなんとも重そうだ。耐え難い暑さの中、その名の通りとても長い間咲き続けるのにも関わらず、たっぷりとした花々が鮮やかな色を保ち続ける様に強さを感じる。なんだか背筋がしゃんとしてくる。
今年はいかにも夏らしい、高く青い空に恵まれている。それでも京都の夏によくあった、気の遠くなりそうな程白い空気に
Raw Silk Uncut Wood
五月らしい新緑の輝きはじっとりとした雨に覆われ続けていた。私の生活も似たようなもので、どうにもうまくいかないことばかりで背中がこわばっていく。
伝えたかったものとはずいぶん違った形で口から出てゆくことばたちに翻弄されて日々が流れゆく。勢いに任せ自らの正しさを信じてしまう。自分自身の余裕のなさを、無意識的に他人のものとすり替えてしまう。悔やんでもまた繰り返しゆく失敗が積み重なり、がんじがらめになっ
わたしの春、ぼくの春
言葉たちをうまく扱えず困っているうち、ひとまず思うがままにペンを走らせることにした。そうしてふと、これは自分自身から出てくるものをどうにも受け止めきれない状態なのだと気づく。もっと、よりよく、そうした足りなさにとらわれて、がんじがらめになる。もっと優しく静かな文を、スルスルと綴ることができればいいのにと、もどかしさでいっぱいになる。春の温かさのように、やわらかで、優しくて、静かなことば。ふわふわと
もっとみるTouch me & die
年末年始に年を振り返るということに恐れを抱き、丸まって過ごしていたら、もうこんな時期になっていた。
その間、数年ぶりにたくさん雪が降った。4年くらいだろうか。もともといた関西では考えられない頻度と量で、500kmというのはずいぶんな距離だなと感じ入る。
あの白さが鈍色の空の重みを奪っているのだろうか。曇りや雨のそれとはずいぶん違う雰囲気を纏うことを不思議に思う。
雪が降ったのは一日だけで、その
The Novemberist
12月の本格的な寒さが体を蝕む。筋肉が緊張しているのがわかる。部屋を暖めても、加湿器をごうんごうんとまわしても、この日差しの弱さがたくさんのことをぼんやりさせては、砂粒のようするすると零れ落ちていく。残ることといえば、肩や背中の硬さくらいだ。そんな中一週間近く家にこもり続けていたが、ふと外出してひとと話す機会があった。
自分の慣れ親しんだ言語には、単語一つ一つに記憶たちが積み重なって強く結びつい
Spill The Milk
自分で歩き始めたにもかかわらず、いつの間にかそれは心地よい散歩ではなくなっていたらしい。足枷の付いたように思う日もあれば、止められないウォーキングマシンのように感じる日もある。得体のしれないものに飲み込まれているような、ぬめりけのある不快感。すこし休んだ方がいいのかもしれない。
自分でそのテンポを決められるはずなのに、どうしてか前のめりで進んでいってしまう。追われることが心地よく感じられたらよい