薄氷

凍った水たまりをいたずらに割りながら出勤する。今年はいちだんと冷え込み、毎週のように雪が積もったりして、こんなのは住んで初めての経験である。冬は好きだ。空気が凛としていていいし、なのに日差しの光はやさしい。とはいえそろそろ寒いのに耐えかねてきたから、河原を歩きつつこの道にないことがわかっている梅の木をやたら探していた。地元ではもう咲いているらしい。

写真を見返していたら、霜のために撮った枯れ草の中から、芝生の新芽がのぞいていることに気付いた。寒かれども、やはり次の季節への準備は始まっているのだ、としみじみしてしまう。
出勤のときも退勤のときも空がまだ明るいほどで、もう少ししたら暗いなか起きたり帰ったりしなくていいことには安心する。定時上がりに家の最寄駅についたら、ちょうど宵入り前で嬉しくなった。濃い青が鮮やかに見える。なんとなく、暗いときは室中にいたくて気が急いてしまうが、そろそろゆっくり歩いて帰れそうだ。(なつき)