いつかはおわる

冷たい風がびゅうびゅうと吹いている。夜の間にすこし降ったらしい雪が大文字の大の字あたりを白くしていた。遠くの山々も白くなっている。
秋は、と思い出そうとするととても遠いことのように思われ、でも秋から一ヶ月やそこらしか経っていないことにハッとする。ここ最近、身の回りや環境の変化はなかったけれども、心境の変化が激しかったのである。大人になると年月が早くなると聞いていたが、私の年月はまだ長く遅いままだ。

主治医との短い会話を一年二年と重ねながら、自分の特性や課題などがだんだん見えてくるようになった。ちかごろはかなり具体的に工夫しては取り組み、その話をして褒めてもらっている。ただ、どこまでできるようになるかも想像つくようになると、いまの環境も長くはもたないなと気づいた。
この先どうしようか。あれこれ悩みつつ、現実逃避で音楽に没頭したりなどしている。とりあえず障害者手帳は取れそうなので取ることにした。

注意力に関する特性は、仕事に適応する目的で注目するようになったのだが、仕事だけでなく生活や音楽制作などでも影響が強くあることにようやく気づいた。より気楽に、自分を追い詰めない生き方を求めて、なにより自分を知るために再開した通院は、そろそろなにか結果をもたらしてくれそうである。

学校は3年や6年で、それ以外はもっと短い期間で環境が変わり続けた。いつかはおわる。長く安定した暮らしをしたことがないためか、どんな暮らしも、それが気に入っているものであろうと、そんな考えはつきまとってしまう。季節が巡るように、数年単位の周期でわたしの生活も巡っている。今の仕事は繁忙期がおわる頃に辞めようと思っている。働いて一年経ったが振り返ると悪いものばかりではなかった。嫌なことをたくさん直視せざるをえなかったものの、おかげで自己理解など得られるものは多かったのだ。

好きな季節がやってきた。他の季節には好きなところや苦手なところがあって複雑な表現になってしまうけれども、冬はまっすぐに好きだと言える。大きくムチムチとした白菜を買って帰り、一枚一枚むいて鍋にするのもいい。氷雨も雪も好きだし、冷たい風にアオオとわめくのもなんだか楽しい。寒空の下、お腹をすかせて歩くのだけは嫌だから、食べることを忘れないように過ごしたいところである。

(なつき)