戸を叩く

昨日から寒さは本格的に厳しくなり、いよいよ冬も本番となっている。夜は曇って流星群は見れずじまいであった。隣の住人が洗濯機を回している。入居時にだめだと言われていたが、むしろ心地よくさえ感じられるから続けてほしい。
仕事が始まる前の残された時間を、ひたすら音楽に充てていた。これまでの気の乗ったらやる程度とは比べられないほどで、別にこれが最後というわけでもないのに最後のように取り組んでいる。
新しいものを作ろうというときは必ず知らない扉を叩き続けることになるのだが、怖くなってしまったりちょっと良いものを見つけたらそこから去り難くなったり、突き詰めていくには障壁が多い。そしてほとんどは徒労に終わり、どん詰まりからとぼとぼと引き返すこともままある。こんなことを何年続けたのだろう。
数年前、とてもいい扉を開いてからはその周辺ばかりやっていたが、この数週間で、かねてより躊躇っていたところを次々と挑戦してみたところなにやらいいものが沢山あって嬉しかった。怖さや躊躇はいつの間にかなくなっていて、面倒臭さはあるけれども、理屈や概念などそっちのけで音をただ楽しめている。おかげで気分がなかなかいい。
思えば、音楽を聴くことも似たような経路をたどった記憶がある。中学生くらい、自分でレンタルする曲を選ぶようになったころ、どんな曲が聴いて確かめることが怖かった。好きなミュージシャンであってもだ。それが徐々に薄れて、知らない曲も次々に聴くことが出来るようになっていて、なんだか少し懐かしくなってしまった。(なつき)