Raw Silk Uncut Wood

五月らしい新緑の輝きはじっとりとした雨に覆われ続けていた。私の生活も似たようなもので、どうにもうまくいかないことばかりで背中がこわばっていく。

伝えたかったものとはずいぶん違った形で口から出てゆくことばたちに翻弄されて日々が流れゆく。勢いに任せ自らの正しさを信じてしまう。自分自身の余裕のなさを、無意識的に他人のものとすり替えてしまう。悔やんでもまた繰り返しゆく失敗が積み重なり、がんじがらめになってゆく。
居を移しゆくことを切望し、かなわぬ願いで幹をすり減らしゆくよりも、根ざした土から逃れられないことを覚悟し、枝の形を変えていくほかないのだろうか。自らの種はもはや絶大な変化を得ることなどないのだろうから。

そんな中、ずいぶん前にバッサリと切られたハナミズキがまたも枝葉を伸ばし、以前のように窓から顔をのぞかせるようになった。雨粒を滴らせながらやわらかな葉は風に揺れている。真冬のころに真っ裸になっていたのと様変わりして、移ろう四季に重なりゆく植物らの変わらないサイクルに安堵を覚えた。



Raw Silk Uncut Wood - Laurel Halo
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