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お湯が沸くのを待ちながら

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お湯が沸くのを待つ間にも読める超絶短編小説集 思いつくまま書いた話をUPしていきます。 何かを待っている、ほんの隙間に読んでくれると嬉しみ。
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2024年3月の記事一覧

超短篇小説19 "後悔"

超短篇小説19 "後悔"

夏の暑い日に四つん這いになり泣きながら、できる限り砂を集めている俺。

高校三年の最後の夏に甲子園に出られたものの初戦で敗退してしまった。

初戦敗退とはいえど、甲子園に出たということは非常に誇れるし、他の人からすれば羨ましがられることだろうとは思うが、涙が止まらない。

俺も多分、そう思えていたはずだった。
"あの時に俺がエラーをしていなければ"
と思い後悔してしまう。

9回裏になんてことない

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超短篇小説18 "寝坊と滅亡"

超短篇小説18 "寝坊と滅亡"

寝過ごしたら人類滅亡していた。
そんなことがあるわけないと思い、頬をつねってみるが痛い。

目に映る景色はまさに滅亡っと言ったところか、焼け野原のような背景に焼けた匂いが漂い、ところどころ煙も上がっている。

どういったことか奇跡的に携帯電話の電源が生きており、電源をつけてみると、2127年3月12日と表示されていた。

「マジかよ、、、」
そう呟き、何故こんな状況になったか、冷静に考えてみること

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超短篇小説17 "走り出す"

超短篇小説17 "走り出す"

私は超全力で走り出す。

私は会社で嫌なことがあった時は、走ることでストレスを発散している。

コツはダラダラ走るのではなく、超全力疾走で倒れるくらい走ることである。

そうすることで余計なことを一切考えなくて済むからである。

超全力疾走をすると、いつも見えている景色と違う景色が見えるのも楽しみの一つでもあるかもしれない。

目に映っているものが全て線になっていく。
現実が現実でないような気分に

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超短篇小説16 "殺人推奨制度"

超短篇小説16 "殺人推奨制度"

「もう女なんか信用できない」

私は今、1人しかいない部屋で"そう"呟いた。

こうなったのは、私と同い年の35歳の彼女が50代の男と浮気をしていたからである。

彼女とはマッチングアプリで知り合い、半年前から付き合い始めた、そして、つい1週間前に浮気をしていることを知り、彼女に問い詰めたところ、
「だからなんなの!あんたみたいなクソガキよりあの人の方がよっぽどマシよ!」と逆上され、カッとなり手元

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超短篇小説15 "奇跡の生還イリュージョン"

超短篇小説15 "奇跡の生還イリュージョン"

土曜の夜になんとなく見ていたテレビに中東系の外国人の男が映っている。
どうやら生放送の番組のようだ。

外国語で話しているので、何を言っているかはわからないが、司会者曰く、爆発からの奇跡の生還イリュージョンを男が行うとのことだ。

男は目隠しをした状態で両手両足を縛られ、その上から手錠をかけられ、棺桶のような箱に体を入れられ、箱自体にも鎖を巻かれ、鎖と箱に南京錠を付けられた上に、手錠及び南京錠の鍵

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