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スノーフレイク

手袋をしていても、ジンジンと指先までかじかむ日。

雪なんてめったに降ることがない私の街にも、

シンシンと静かに、ただひたすらに

音もなく落ちてくる。


次第に白く覆われていく大地に、

物珍しい私は、幼心に戻ったように、

しばし寒さを忘れ見入っていた。


風を連れてやってきたスノーフレークが

宙を舞いながら私の方へ向かってくる。

まつげに降り立ったそれは、

一瞬私の視界を白くして

あっという間に溶け、わずかに瞳をぬらしていった。


ああ、あの人は今頃何処にいて、何を想い、

何をしているのだろうか。

同じ様に雪を見て、降りてくる冷たいかたまりに驚き

身を縮めているのだろうか。


だんだんと降り積もっていく雪は、

鮮やかに咲いていた黄色いビオラも、

真紅のシクラメンも、

まるでそこに最初からなかったかのように、

ただ、白く染めていく。


隠された真意なんて、そのひと以外には

例え神様でも、知るよしは無いのだけれど、


今はこの降り続く白い塊の連鎖を

見守るしかない。


きっといつかその時が来ればわかる。

今は、鉛いろに垂れ込める雲が鎮座する、この重苦しい空も、

やがて陽がさし、そのベールを透かすだろう。


私は上を向いたまま、

次々と顔に落ちてくるスノーフレークの

溶けていく感覚を味わいながら、

その時が来るのを願った。


すべてを今すぐに知ろうとは、無理なこと。
雪がとければ見えてくる。

ゲーテ





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