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僕の名前は「ポチ」

僕の名前は「ポチ」
犬だって?
違うんだなぁこれが。
僕は犬じゃない。

サボテンだ。

犬じゃないサボテンの僕は今

あるところで幸せに暮らしている。



生まれはどこだったのか、全く覚えていない。
気づいた時には「伊豆シャボテン動物公園」で暮らしていた。
そして今僕は、「ここ」にいる。

今はある女性がご主人みたいになっているけれど
僕の本当のご主人は、ある男の子だ。
名前もその子がつけてくれた。
名前をちゃんとつけてくれたのはいいんだけど
名前が「ポチ」って…
僕も最初は思ったよ。
え?ポチ?ってね。

僕は知っている。
世の中で「ポチ」と言えば、大体の人が犬を想像するんだ。
でも僕のご主人は誰に聞かれても
「いや、これはポチだから」って。
え?サボテンにポチ?
みんなが何度同じ質問をしても
「うん、こいつはポチ。」って。

まぁご主人がそこまで言うんならしょうがないよね。
僕も反対するのは諦めたよ。

でもさ、僕のご主人ったらひどいんだ。
ご主人は僕のことを置いて、行っちゃった。
たしか一人暮らしをするとか何とか言ってた。
僕はずっとリビングの窓際に置かれてたから
引っ越しの時にはどうやら忘れていたらしい。
まったくひどい話だよ。

でも憎めない。

だって僕のご主人だから。

名前はポチだが、決して犬ではないということを
もう一度ここで強く言っておく。
ご主人が笑顔を向けてくれたり話しかけてくれたりすると
自然とトゲがぴょんっと元気にたつ…なんてことは
別に犬とは全く関係ないことだ。
そうだろ?
うん、全然関係ないね。

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引っ越しの時に置いていかれた僕ことを可哀想だと思ったのか
LINEで「ポチ、家に忘れていったよ。」って
ご主人のお母さんが言ってくれたんだけど
ご主人はこう言ったんだ。
「預かっておいてずっと」って…

えっ⁉︎嘘だろ⁉︎
僕はその日一日寝込んだよ。
だってさ、あんまりじゃないか…

僕はご主人が大好きなのに。

そういうわけで、今僕のお世話をしてくれているのは
僕のご主人のお母さんだ。
だからさっき言ってた「ある女性」っていうのは
お母さんのこと。

そういえば気がついたんだけど、ご主人がいなくなって
お母さんがお世話をしてくれるようになってから
僕への扱いが少し変わったんだ。
別にご主人だっていつもちゃんとお世話をしてくれていたけど
お母さんになってからそれがまた
随分と変わった気がする。

枯らせちゃったら大変だ!ってことで
お母さんがすごーく優しく丁寧に
僕のお世話をしてくれるようになった。
ベッドだって今までのものとは違う
新しいものに変えてくれた。
あれ?前よりも居心地がいいぞ。
あ〜なんて快適なんだろう…

ただしあまりに居心地が良すぎたせいか
もう成長しないと思っていた僕の身体は
少し背が伸びて横にも広がって
まぁまぁな成長を遂げた。
ん?決して太ったわけではないっ!

そんな感じで大きくなった僕を
お母さんはいつも見つめてくれる。
僕はそれが嬉しかった。
でもね、僕も気づいてたんだ。

ご主人がいなくなってからは
僕も淋しくて色々愚痴ったりもしたけれど
実は僕のご主人は、僕のことを
わざと置いて行ったんだなって。

お母さんはすごく寂しがり屋なんだ。
ご主人はそのことをとてもよく理解している。
だから自分がこの家から出ていったら
お母さんが淋しがると思ったんだろうね。
そこで僕が選ばれたってわけ。

だからご主人は、僕のことをわざとお母さんに頼んだ。
お母さんのことだから、もちろん真面目に丁寧に優しく
僕のお世話をしてくれる。
ご主人は思ったんだね。
これで少しでもお母さんの淋しさが
和らぎますようにって…

たしかにそこからはお母さんも
淋しがっている暇なんかなくなった。
僕のお世話にそりゃあもう夢中になっていた。
たしかにそのころ頃の僕は、今より少しやせ細っていたし
皮膚の状態もあまり良くなかった。
けれどお母さんの熱心なお世話のお陰で
見る見るうちに元気になり
今ではこうして肥え…大きく成長できた。

お母さん、いつもありがとう。

本当はこれは僕だけのセリフじゃないんだけど
僕のご主人も結構な恥ずかし屋で
なかなかこういうことは伝えられないんだ。
だからご主人の代わりに僕が
何度だって言うつもりだよ。

お母さん、いつもありがとうって。

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おしまい。


***


最後まで読んでいただきありがとうございました。

実はこのサボテンのポチ。
shinoさんの息子さんの実際のエピソードが基になっています。
気になった方はこちらの記事のコメント欄を読んでいただけると
よくわかると思います♪

ちなみにこのイラストのサボテンはですが、今回は物語ということで
shinoさんの実際のサボテンの写真とは違う感じにしました。
よく肥え…よく成長したサボテンということで
少し丸っとした雰囲気にしています(笑)

買ってきたサボテンに息子さん自らポチと名前をつけた時
shinoさんもそれはそれはびっくりしたでしょうね。
でもとっても面白いですよね。
好きです、そのセンス!

私がなぜそのサボテンが気になったのかというと
shinoさんの記事にそのサボテンの写真と文章が
添えられていたのを見て
それが自分のツボに入ったからなんです。

エピソードが最高過ぎて、ずっと頭から離れなかったんですよねぇ…

そして今度は私がそのことを自分の記事の中に書いてみたら
それに対してshinoさんがコメントをくれたんです!
そこでなんとポチの裏話を教えてくれたのですが…
はい、shinoさん。ねじりに火をつけました。
いや、違うな。アイデアをくれました!
「あ、これ物語にしたい。」
そう思ったらすぐに行動だ~。

shinoさんにポチの使用許可を得て、すぐに物語を書き始めました。
既に素敵なベースがある為、そこはあまり変えたくなかったので
少しだけ物語風に書き換えさせていただきました。

ぐんぐん書いたら一気にできたよ、shinoさん。

ポチのエピソードが良すぎて、もはやポチが
私にのり移って書いたんじゃないかと思うくらい
スイスイ書くことができました。
ねじり、ポチの気分になってました。

shinoさん。
大切な思い出、そして大事なポチを私に預からせてくださり
本当にありがとうございました。

繋がりの中から何かを生み出すのは
とっても楽しいですね~。

自分がこんな人間だとは本当に知らなかったです!びっくり。
最近になって驚いてます(笑)

これも全てnoteの世界、noteで出会ったみなさんのお陰です。

みなさんへ感謝を込めて

ありがとうございます( ´ ▽ ` )!


ではまた。





ではまた。


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