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自己調整的リーダーシップ

教育業界の用語に「自己調整学習」というものがあります。

自己調整学習とは、

自己調整学習とは、学習者が自分自身の学習活動に能動的に関わり、自らの学習を調整するという学び方を指します。この学び方で学ぶ学習者は、自分自身の立てた目標を達成するために、自分の学習に対する意欲や学習方法を自ら観察、調整し、効果的に学習を進めていくことができます。

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この用語と現実社会において関連する要素と言えるのが、「セルフリーダーシップ」です。

セルフリーダーシップとは

セルフリーダーシップとは、自分自身に対して発揮するリーダーシップのことです。つまり、「自分自身を率いる能力」と言い換えることができます。

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つまり、自己指導力とも言え、自分自身をリードし、自己を管理する能力とも言うことができます。この能力を持つ人は、目標設定、モチベーションの維持、評価、改善などの様々な能力を発揮する場面において、自己で調整して成長することで、自らだけでなく組織内のリーダーシップの発揮にも繋がると思っています。

この2つの関連性の無い言葉を掛け合わせて、タイトルの造語である「自己調整的リーダーシップ」というものを考えてみました。

私はこの言葉を考えてみた背景には、日本人にこの要素が足りないのでは無いかと考えた為と言えるからです。

前者の自己調整学習については、要因の一側面として、日本の教育システムが挙げられます。日本の教育システムは、詰め込み教育が主流であり、教科書に書かれていることを暗記してテストで点数を取ることが重要視されています。このような教育システムの中では、自己調整学習があまり重視されず、自分で学ぶことを促すような教育環境が整っていません。

また、日本社会におけるグループ志向の文化も、自己調整学習を阻害していると言えます。日本の文化は、個人よりも集団や組織の利益を優先する傾向があります。このような文化の中では、自分自身の能力や知識を高めることよりも、グループに貢献することが重要視されるため、自己調整学習を行うことが難しくなっています。

その他、後者のセルフリーダーシップについては、上記の理由とほぼ被ってはいるのですが、追加で、日本の組織文化が挙げられます。日本の企業文化では、上司が下の部下を指導するという上下関係が非常に強く、部下は指示されたことを従順にこなすことが求められます。このような文化の中では、部下自身が自己決定や自己統制を行うことが難しくなり、セルフリーダーシップの能力が欠如する傾向があると言えます。

結果的に、このような文化の中では、自分自身の能力やスキルを高めることよりも、グループのために尽力することが重視されるため、自己決定や自己統制を行う能力が欠如する可能性があります。

つまり、ほぼ同一の理由と同一の内容を言っていると私は思っています。では、この造語である「自己調整的リーダーシップ」を高めるためにはどうすればいいのでしょうか?

まず、「自己調整学習」においては、「動機づけ」「学習方略」「メタ認知」が、主要な要素として密接に関連しています。

最初に、「動機づけ」とは、自己調整学習を行う上で非常に重要な要素です。学習に必要な動機づけを高めることで、より効果的な学習が可能となります。具体的には、学習の目的を明確にし、自己効力感を高めることが重要です。自己効力感とは、自分が目標を達成できるという信念のことであり、学習においては非常に重要な要素です。

次に、「学習方略」とは、自己調整学習において必要な学習戦略のことです。自分自身の学習スタイルや目的に応じて、最適な学習戦略を選択し、効果的な学習を行うことが重要です。具体的な学習戦略としては、アウトライン作成や概念マップ作成、問題解決法などがあります。

最後に、「メタ認知」とは、自己調整学習において非常に重要な概念です。メタ認知とは、自分自身の学習プロセスについて認識することであり、自己調整学習を行う上で必要な能力です。具体的には、自分自身の学習戦略の効果を評価し、必要に応じて修正することが重要です。

結果、自分自身の学習目的や学習スタイルを理解し、最適な学習戦略を選択し、その効果を評価し、必要に応じて修正することで、より効果的な学習を行うことができます。

この要素は、「セルフリーダーシップ」にも重複する部分が多くあります。このセルフリーダーシップに関しては、追加で以下の要素が大事だと言えます。

第一に、リード(自己指導力)は、自分自身をリードし、方向づけ、目的を持って行動する能力です。自分自身の能力や知識、経験を活かして自己成長を促し、リーダーシップを発揮することができます。

第二に、評価(自己評価能力)は、自分自身を客観的に評価する能力です。自分自身の強みや弱みを認識することで、自己成長に繋がる改善点を見つけ出すことができます。自己評価をすることで、自己成長に必要な課題や目標を明確にすることができます。

第三に、モチベーションは、自分自身を推進するためのエネルギーです。自分自身の目標や価値観を明確にし、それに向かって努力することで、より効果的な行動を促します。自己モチベーションを高めることで、自分自身をリードし、より良い結果を出すことができます。

学習者としてのデザインされた路線を自ら調整するか、自らリードするかによる違いはあると思いますが、基本的に必要な要素は同じと考えております。

そして、何より私が重要だと考えているのは「内省」です。

まず、「自己調整学習」においては、自分自身の学習過程を客観的に見つめ、自分自身の強みや弱みを把握することが必要です。自己の学習過程に対して冷静に分析することで、どのような点がうまくいかなかったのか、どのような点を改善すべきなのかを把握することができます。このような自己分析によって、より効果的な学習法を見つけることができます。自己調整学習では、学習内容の把握や、問題解決能力、学習効率の向上が求められるため、自己調整的な学習が必要とされます。

また、「セルフリーダーシップ」においても、自己評価や自己意識を高めるために、自分自身の行動や思考を客観的に振り返ることが必要です。自己分析を通じて、自己の強みや弱みを把握することができ、それを踏まえて目標を設定し、行動することができます。自己評価や自己意識を高めることで、自己のリーダーシップを発揮することができます。

つまり、「内省」は、自己調整学習やセルフリーダーシップにおいて、自分自身を客観的に見つめ、自己分析をすることで、自己の強みや弱みを把握し、効果的な学習やリーダーシップを発揮するための改善点を見つけることができるため、非常に重要な要素となります。

結果的に、「自己調整的リーダーシップ」という造語において、一番重要な要素は、「内省」であると個人的には位置付けており、この内省の「質」や「時間」を確保することにより、自ら考えて、自ら調整を行い、自ら発展していく人材の育成が可能になると考えます。
そして、自ら行う行動において、学習の楽しみを自ら実感した上で、実社会に対して実践して行くことが大切だと考えます。
組織において自律的かつ自己主導型なリーダーシップはこれからもより求められていき、より「自ら学ぶ」を楽しめる人材が増えることを私も楽しみにしています。

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