◆連載フィクション小説を載せます。自分の創作に「面白い」と思って下さる方のご支援をもとに、自費出版するのが目標。1週間に1ページは投稿します。 純文学が好き、駆け出しをサポートしていただける方のご参加、心よりお待ちしております。
知るとゾッとするSNSのダークサイドを告発。
KALATH
活字と煙は、高く昇るとか。
欲望の渦巻くネオン街。欲は何を、誰に語るのか。欲のささやきと声に溺れる人たち。その中間に位置する人たちーーどこへと向かうのか。
*高校時代。淡い青春の思い出を書き綴っています。 他のフィクションと異なり、こちらは私体験に基づく話です。 その経験を脚色し、想像を加えよりリアリティを持たせる、 実験作です。 私小説寄りです。淡さや青さを盛り込みました。
裏の裏は表だ。夜道は「裏」。一人で歩くと、危険を察知し警戒をする。危害を想定する。避けようと、裏道を避けようとする。 次に別の、安全に思える表道に近い裏道を選ぶ。そこも「裏」だ。暗闇に同化して、足元に近づいてくる。得体の知れない恐怖に怯えるだろう。そこで選ぶのはーー人がいてネオンが輝き、安堵を覚える「表」道。 そこに真の「裏」がある。表面上は綺麗で安心をするだろう。だが、見えない裏が群がっていて、容赦なく襲ってくる。修復は効かない。人生の歯車が修復できないところまで、
【悪いのは】 ロバータ・フラックの"Killing Me Softly"が頭のなかでこだまする。曲のトーンに陰うつさは感じられない。ただ、自分の行いを省みると、この曲が頭でループするたびに、叫び出したくなるほどの苦しみを覚える。 「逃げて」--。かのじょの最後のひと言だった。どこに逃げるべきなのか分からないまま、僕は右に行き、左に行き、前に進む。後ろに戻れない。涙は流れない、不思議と。 自分が安全でありたい、解放されたいと、願っているだけなのだろうか? 恋人を殺
【吹けよ風】 春風の吹く方へ--。春風に吹かれ、僕は車を運転していた。ひたすら、脇目もふらず。風に任せ走っていった。 質屋で店主を殺してから、急いで車に乗った。大量とは言えずとも服に--自分のだか、返り血なのだかわからないが--、血が付いていたものだから、那須高原のパーキングエリアで、みえ子に新品の洋服を買うように伝えた。 Tシャツ程度のものでいい、半袖で十分だと。 肌寒い春の夜に、上着がないのは、心許(もと)ない。だが仕方がない。仮に今、警察が追っているとする
【渇き】 最悪な危機を脱した気になっていた。現金強奪犯たちに追われているのかもしれない。だが、それでも都内で生き残り車を借りて、逃げおおせている。これだけで十分だ。もう災厄に見舞われるわけがないと、高を括ってしいた。脇が甘くなっていたのだろうか。 車を走らせながらみえ子と話し合う。 みえ子と僕とで、手分けをしてブランド品を川越市内の質屋に出すことになった。逃げている身である手前、昼に堂々と売りにだすわけにはいかなかい――。 その晩に僕たちが売りに来た、と質屋が
序 この話は、とある学生についての話だ。どこにでもいる、詐欺とは無縁に思える学生についての話。しかし、マルチ商法詐欺の手法は多様化しているのも事実だ。今回は俗称「モノなしマルチ」商法の被害について。
これから書く話。 すべて実話だ。小説ではない。 現実とSNS(交流サイト)は切り離せない時代だろう。ところが、盲点もある。ジャンルによって異なる。 潜む落とし穴を掘っているのは、案外、一見すると善良な人間だったりする。
今日は核心に迫る第一歩を、書き進めてゆく。読み手は誰のことを言っているのか、分かってくれていると思う。 最近、マルチ商法に規制がかかっている。とあるマルチの大本山とも言われてきた企業に、行政勧告令が出された。事実上の解体だ。モデルのルーツはいつなのだろう?と頭をよぎる。この手法は「騙して稼ぐ」。とても賢いそれだからだ。もうかるのが上層部だけどいうのもーー善悪は別としてーーまた上手くできている。働くのではなく働いてもらうだけで、カネが入ってくるカラクリ。 モラルが欠如していても
ここ最近SNS(交流サイト)空間が闇だらけになっている。さあ、なんのことだかサッパリだろう。見える人・見えない人に見事に分かれた。見える人には全てお見通し。証拠も揃っている。興味本位でした投稿が、あとあと多くの被害者をはじめ、迷惑をかける。マルチ商法・特定商品取引やら、悪行の数かずが、当たり前にあるんだ。その数かずを紐解いていく。時系列はバラバラだ。それだけは事前に把握してほしい。
【おサボり】 そういえば、だ。 俺の地元について、端折りすぎた気がする。ここで補足するかな。 そういえば、だ。 俺自身のことも書いていないや。興味抱く人があまりいないと思っていたし。 自分の経験した出来ごとは、なるたけ忠実に。 ただ、「アレ?なんだったっけなあ……」って話になると、脚色してしまうかもしれない。 怒られない範囲内での誇張の方が面白いでしょう? 加えて、というか重ねて「聞いた話」は膨らんじゃうはず。伝言ゲームみたいなもので、気がついたら「
【冷や汗】 「世にも奇妙な話」みたいに出来すぎた、気味の悪い話--。その手の話を耳にすることは、人生で一度か二度くらいあると思う。人によってはそれ以上だと思う。 三度以上あるヤツってどんな人なのか、想像には難しくないハズ。 又聞きだったりするから、尾ひれもついて脚色される。それでもって自分も盛っているかもしれない。事実誤認があったりする。それもご容赦してもらえれば。 というか俺自身は、「〜から聞いた話」ってオートマ式に膨らむから仕方ないと割り切っている。
【風】 気分転換にエッセイ的なものを書きたい--。そんな衝動に駆られて、タイプしているところ。 ひとつのシリーズモノを書いていると、行き詰まるときがあって、(多分乗り越えられる)壁に行き当たると、日常のことでも書こうって風がときおり吹く。その風に揺られている次第。 【そういえば、さ】 本題に入ろう。 僕はnote上には活字を書く。同時に、絵も描く。ふたつの「かく」を継続してきたし、これからもそうする気持ちでいる。 今回は「描く」ほうについて。 自分は
【逃げよ】 一刻もはやくここから、東京から、関東から、逃れたい--。その一心だった、僕を突き動かしていたのは。レンタルしたのはフォルクスワーゲンの小型車で軽とも呼べるような、微妙なサイズ。 みえ子が車を借りる時「外車はないのかしら?」と店員に詰め寄り、嫌いやな表情で、ワーゲンをその場で渡してくれた。悠長なものだ。切迫し、一刻をも争う場面で、外車がいいだなんて。 車内で僕は黙り込んでいた。 この先どうなるのか、考えたら悪い予感しかしない。いつ強奪犯の誰か--それ
【霧に】 霧雨が降り始めていた。 僕の中に走る緊張感をほどよく解きほぐした。 この霧のなかに、隠れおおせられるかもしれないと、淡い期待を抱いた。何から?誰から?――警察なのか、現金強盗犯のうち、逮捕されなかった4人からなのか。それとも、下らなく思える日常生活からなのか。 分からない。 それでも、逃げ出せる絶好のチャンスだと、先行きの恐れを感じながらも気持ちは昂りつつあった。この足で、中野のレンタカーサービスに寄って、車を借り旅路に出ようという気でいた。妙にロ
寝ようとして1時間以上が経つ。何をどうしても眠れない。こんな日、というか夜中は考えがあちらこちらに飛ぶ。 で、何を言いたいんだっけ? そうだ、長男の自死だ。 もう5年前になる。まだ5年前とも言える。 天の向こうの兄に無許可でこれを書き綴るのは、失礼な気がするから、まずは断る--。アニキの「あの日」の出来ごとを書く。ただ、アニキの嫌いな「収益」が目的でないことも添えておく。 そのうえで、あの忘れられない日のことの話を進めていきたい。 いいかな? 【突然
【欲と旅】 「わたしはね、このお金で高級品を買って売る。質屋で買う人がいる--。流れるお金って汚い。そう気づけない人たちが増えちゃうんだろうな。なんて想像すると、面白みを覚えるの。愉快じゃない、だって」 「蔑みすぎじゃないかな?」と本心で答えた。 「もちろん。気づけてないことがバカバカしすぎて笑えちゃう。人間って、上面なんだなって思えるの」 と、みえ子は一般の、罪のない人々を侮辱すればするほど、盛り上がっていくように映る。 確かに。上面がいかに愚かなのか、わか
【悪いのは】 ロバータ・フラックの"Killing Me Softly"が頭のなかでこだまする。曲のトーンに陰うつさは感じられない。ただ、自分の行いを省みると、この曲が頭でループするたびに、叫び出したくなるほどの苦しみを覚える。 「逃げて」--。かのじょの最後のひと言だった。どこに逃げるべきなのか分からないまま、僕は右に行き、左に行き、前に進む。後ろに戻れない。涙は流れない、不思議と。 自分が安全でありたい、解放されたいと、願っているだけなのだろうか? 恋人
【失われて】 「そのドジった人の落としたお金を拾っただけよ。教育だと思うのそれって。1500万円以上の強奪をすると、百数万--正しくは115万円なのね--の代償はつきものだって」と、みえ子は偉ぶった様子。 怒りを覚えた。 教育?なぜ言えるのか、言える立場にあるのか、みえ子は。 ただ、僕は口をつぐんだ。緊迫しているさなかに憤りの塊のような言葉を投げかけると、ことがいっそうこじれてしまう。 「その拾った115万円、警察に届けないと。今なら間に合うし、使ってないこと
【白昼の吐息】 「ねえ、名前の書いてないものって落とし物って言わないわよね?」と、白昼の静寂に音符をつけたような声音で、みえ子は、寝起きの僕に言う。僕はテレビをつけたまま寝ていたのだろう。 「実は6人での実行だったのか?」と、問い詰めるようによし子に迫った。寝起きだというのに、迷いもなく、突きつけるかのように。 --そう、「まさか」との予感は当たっていた。そう思えるほどの確信を突如抱いた。 --そう、まさか、みえ子が「アノ」現金強盗事件に直接加担していた、もしく
【まばゆい夜に】 マンションのなかに入った。みえ子は自信に満ちた笑みを見せた。反して、僕は困惑した。 ことがことだ。 心穏やかではない--突然の百数万円の姿、外でけたたましく鳴るサイレンの音。もうすうぐ夜中の4時だというのに、心の落ち着きのなさとパトカーの赤灯が、僕らにあてられているような気がした。 睡魔に襲われることなかった。眠気をライトが照らし、僕から睡眠する猶予を奪っているように思えた。 落ち着かない。 テレビだ。つけてなにが起こっているのか、確
その札束の枚数で大体、百数万円と気がついた。 僕は、浮かれず、同時に、何か悲劇の始まりかもしれない、と思いを抱いた。間の中途半端な気持ちで無機質な万札を眺めていた。 まるでそこに存在しないかのように。確か「イージー・ライダー」では偶然手にした、大金と言えるような、言えないような、金を手にして悲劇に突っ走る。なのに、浮かれていたっけ。 なんだかそんな顛(てん)末が見えていた気がした。ぼんやりと考えていた矢先に突然、だ。 死去した父の言葉が脳裏に浮かんだ。