KALATH

今日も活字とトラックにノる。 元へなちょこ記者。行き先不明。

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マガジン

  • Reccomendation.

    活字と煙は、高く昇るとか。

  • 連載『欲の涙』

    欲望の渦巻くネオン街。欲は何を、誰に語るのか。欲のささやきと声に溺れる人たち。その中間に位置する人たちーーどこへと向かうのか。

  • 『走れ田口三部作』

    *高校時代。淡い青春の思い出を書き綴っています。  他のフィクションと異なり、こちらは私体験に基づく話です。  その経験を脚色し、想像を加えよりリアリティを持たせる、  実験作です。  私小説寄りです。淡さや青さを盛り込みました。

  • エッセイ、その他

  • フィクション

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『グレーハウンド』

裏の裏は表だ。夜道は「裏」。一人で歩くと、危険を察知し警戒をする。危害を想定する。避けようと、裏道を避けようとする。  次に別の、安全に思える表道に近い裏道を選ぶ。そこも「裏」だ。暗闇に同化して、足元に近づいてくる。得体の知れない恐怖に怯えるだろう。そこで選ぶのはーー人がいてネオンが輝き、安堵を覚える「表」道。  そこに真の「裏」がある。表面上は綺麗で安心をするだろう。だが、見えない裏が群がっていて、容赦なく襲ってくる。修復は効かない。人生の歯車が修復できないところまで、

    • 『生き延びる叫びよ』 (予告編)

      【悪いのは】  ロバータ・フラックの"Killing Me Softly"が頭のなかでこだまする。曲のトーンに陰うつさは感じられない。ただ、自分の行いを省みると、この曲が頭でループするたびに、叫び出したくなるほどの苦しみを覚える。  「逃げて」--。かのじょの最後のひと言だった。どこに逃げるべきなのか分からないまま、僕は右に行き、左に行き、前に進む。後ろに戻れない。涙は流れない、不思議と。 自分が安全でありたい、解放されたいと、願っているだけなのだろうか?  恋人を殺

      • 『生き延びる叫びよ』(下)⑤

        【吹けよ風】 春風の吹く方へ--。春風に吹かれ、僕は車を運転していた。ひたすら、脇目もふらず。風に任せ走っていった。  質屋で店主を殺してから、急いで車に乗った。大量とは言えずとも服に--自分のだか、返り血なのだかわからないが--、血が付いていたものだから、那須高原のパーキングエリアで、みえ子に新品の洋服を買うように伝えた。  Tシャツ程度のものでいい、半袖で十分だと。  肌寒い春の夜に、上着がないのは、心許(もと)ない。だが仕方がない。仮に今、警察が追っているとする

        • 『生き延びる叫びよ』(下)④

          【渇き】  最悪な危機を脱した気になっていた。現金強奪犯たちに追われているのかもしれない。だが、それでも都内で生き残り車を借りて、逃げおおせている。これだけで十分だ。もう災厄に見舞われるわけがないと、高を括ってしいた。脇が甘くなっていたのだろうか。  車を走らせながらみえ子と話し合う。  みえ子と僕とで、手分けをしてブランド品を川越市内の質屋に出すことになった。逃げている身である手前、昼に堂々と売りにだすわけにはいかなかい――。  その晩に僕たちが売りに来た、と質屋が

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        『グレーハウンド』

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          10本
        • 連載『欲の涙』
          20本
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          4本
        • エッセイ、その他
          17本
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          7本
        • 連載シリーズ(日曜日or水曜日更新)
          3本

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        メンバー特典記事

          『返ってこない7桁』

          序 この話は、とある学生についての話だ。どこにでもいる、詐欺とは無縁に思える学生についての話。しかし、マルチ商法詐欺の手法は多様化しているのも事実だ。今回は俗称「モノなしマルチ」商法の被害について。

          『返ってこない7桁』

          「現行体制を問う」

          これから書く話。 すべて実話だ。小説ではない。 現実とSNS(交流サイト)は切り離せない時代だろう。ところが、盲点もある。ジャンルによって異なる。 潜む落とし穴を掘っているのは、案外、一見すると善良な人間だったりする。

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          「現行体制を問う」

          『無言』④

          『無言』④

          レイノアレ

          今日は核心に迫る第一歩を、書き進めてゆく。読み手は誰のことを言っているのか、分かってくれていると思う。 最近、マルチ商法に規制がかかっている。とあるマルチの大本山とも言われてきた企業に、行政勧告令が出された。事実上の解体だ。モデルのルーツはいつなのだろう?と頭をよぎる。この手法は「騙して稼ぐ」。とても賢いそれだからだ。もうかるのが上層部だけどいうのもーー善悪は別としてーーまた上手くできている。働くのではなく働いてもらうだけで、カネが入ってくるカラクリ。 モラルが欠如していても

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          レイノアレ

          いいたいけれどいえないこと

          ここ最近SNS(交流サイト)空間が闇だらけになっている。さあ、なんのことだかサッパリだろう。見える人・見えない人に見事に分かれた。見える人には全てお見通し。証拠も揃っている。興味本位でした投稿が、あとあと多くの被害者をはじめ、迷惑をかける。マルチ商法・特定商品取引やら、悪行の数かずが、当たり前にあるんだ。その数かずを紐解いていく。時系列はバラバラだ。それだけは事前に把握してほしい。

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          いいたいけれどいえないこと

        記事

          『奇妙頂礼地方都市秘話』(2)

          【おサボり】  そういえば、だ。  俺の地元について、端折りすぎた気がする。ここで補足するかな。  そういえば、だ。  俺自身のことも書いていないや。興味抱く人があまりいないと思っていたし。  自分の経験した出来ごとは、なるたけ忠実に。  ただ、「アレ?なんだったっけなあ……」って話になると、脚色してしまうかもしれない。  怒られない範囲内での誇張の方が面白いでしょう?  加えて、というか重ねて「聞いた話」は膨らんじゃうはず。伝言ゲームみたいなもので、気がついたら「

          『奇妙頂礼地方都市秘話』(2)

          『奇妙頂礼地方都市秘話』(1)

          【冷や汗】  「世にも奇妙な話」みたいに出来すぎた、気味の悪い話--。その手の話を耳にすることは、人生で一度か二度くらいあると思う。人によってはそれ以上だと思う。  三度以上あるヤツってどんな人なのか、想像には難しくないハズ。  又聞きだったりするから、尾ひれもついて脚色される。それでもって自分も盛っているかもしれない。事実誤認があったりする。それもご容赦してもらえれば。  というか俺自身は、「〜から聞いた話」ってオートマ式に膨らむから仕方ないと割り切っている。  

          『奇妙頂礼地方都市秘話』(1)

          『悪気はないけれど』

          【風】  気分転換にエッセイ的なものを書きたい--。そんな衝動に駆られて、タイプしているところ。  ひとつのシリーズモノを書いていると、行き詰まるときがあって、(多分乗り越えられる)壁に行き当たると、日常のことでも書こうって風がときおり吹く。その風に揺られている次第。 【そういえば、さ】  本題に入ろう。  僕はnote上には活字を書く。同時に、絵も描く。ふたつの「かく」を継続してきたし、これからもそうする気持ちでいる。  今回は「描く」ほうについて。  自分は

          『悪気はないけれど』

          『生き延びる叫びよ』(下)③

          【逃げよ】  一刻もはやくここから、東京から、関東から、逃れたい--。その一心だった、僕を突き動かしていたのは。レンタルしたのはフォルクスワーゲンの小型車で軽とも呼べるような、微妙なサイズ。  みえ子が車を借りる時「外車はないのかしら?」と店員に詰め寄り、嫌いやな表情で、ワーゲンをその場で渡してくれた。悠長なものだ。切迫し、一刻をも争う場面で、外車がいいだなんて。  車内で僕は黙り込んでいた。  この先どうなるのか、考えたら悪い予感しかしない。いつ強奪犯の誰か--それ

          『生き延びる叫びよ』(下)③

          『生き延びる叫びよ』(下)②

          【霧に】  霧雨が降り始めていた。  僕の中に走る緊張感をほどよく解きほぐした。  この霧のなかに、隠れおおせられるかもしれないと、淡い期待を抱いた。何から?誰から?――警察なのか、現金強盗犯のうち、逮捕されなかった4人からなのか。それとも、下らなく思える日常生活からなのか。 分からない。  それでも、逃げ出せる絶好のチャンスだと、先行きの恐れを感じながらも気持ちは昂りつつあった。この足で、中野のレンタカーサービスに寄って、車を借り旅路に出ようという気でいた。妙にロ

          『生き延びる叫びよ』(下)②

          『カマキリの雨』

           寝ようとして1時間以上が経つ。何をどうしても眠れない。こんな日、というか夜中は考えがあちらこちらに飛ぶ。  で、何を言いたいんだっけ?  そうだ、長男の自死だ。  もう5年前になる。まだ5年前とも言える。  天の向こうの兄に無許可でこれを書き綴るのは、失礼な気がするから、まずは断る--。アニキの「あの日」の出来ごとを書く。ただ、アニキの嫌いな「収益」が目的でないことも添えておく。  そのうえで、あの忘れられない日のことの話を進めていきたい。  いいかな? 【突然

          『カマキリの雨』

          『生き延びる叫びよ』(下) ①

          【欲と旅】  「わたしはね、このお金で高級品を買って売る。質屋で買う人がいる--。流れるお金って汚い。そう気づけない人たちが増えちゃうんだろうな。なんて想像すると、面白みを覚えるの。愉快じゃない、だって」  「蔑みすぎじゃないかな?」と本心で答えた。  「もちろん。気づけてないことがバカバカしすぎて笑えちゃう。人間って、上面なんだなって思えるの」  と、みえ子は一般の、罪のない人々を侮辱すればするほど、盛り上がっていくように映る。  確かに。上面がいかに愚かなのか、わか

          『生き延びる叫びよ』(下) ①

          『生き延びる叫びよ』(上)

          【悪いのは】  ロバータ・フラックの"Killing Me Softly"が頭のなかでこだまする。曲のトーンに陰うつさは感じられない。ただ、自分の行いを省みると、この曲が頭でループするたびに、叫び出したくなるほどの苦しみを覚える。  「逃げて」--。かのじょの最後のひと言だった。どこに逃げるべきなのか分からないまま、僕は右に行き、左に行き、前に進む。後ろに戻れない。涙は流れない、不思議と。 自分が安全でありたい、解放されたいと、願っているだけなのだろうか?  恋人

          『生き延びる叫びよ』(上)

          『生き延びる叫びよ』(上) ⑤

          【失われて】  「そのドジった人の落としたお金を拾っただけよ。教育だと思うのそれって。1500万円以上の強奪をすると、百数万--正しくは115万円なのね--の代償はつきものだって」と、みえ子は偉ぶった様子。 怒りを覚えた。  教育?なぜ言えるのか、言える立場にあるのか、みえ子は。  ただ、僕は口をつぐんだ。緊迫しているさなかに憤りの塊のような言葉を投げかけると、ことがいっそうこじれてしまう。  「その拾った115万円、警察に届けないと。今なら間に合うし、使ってないこと

          『生き延びる叫びよ』(上) ⑤

          『生き延びる叫びよ』(上) ④

          【白昼の吐息】  「ねえ、名前の書いてないものって落とし物って言わないわよね?」と、白昼の静寂に音符をつけたような声音で、みえ子は、寝起きの僕に言う。僕はテレビをつけたまま寝ていたのだろう。  「実は6人での実行だったのか?」と、問い詰めるようによし子に迫った。寝起きだというのに、迷いもなく、突きつけるかのように。  --そう、「まさか」との予感は当たっていた。そう思えるほどの確信を突如抱いた。  --そう、まさか、みえ子が「アノ」現金強盗事件に直接加担していた、もしく

          『生き延びる叫びよ』(上) ④

          『生き延びる叫びよ』(上) ③

          【まばゆい夜に】  マンションのなかに入った。みえ子は自信に満ちた笑みを見せた。反して、僕は困惑した。  ことがことだ。  心穏やかではない--突然の百数万円の姿、外でけたたましく鳴るサイレンの音。もうすうぐ夜中の4時だというのに、心の落ち着きのなさとパトカーの赤灯が、僕らにあてられているような気がした。  睡魔に襲われることなかった。眠気をライトが照らし、僕から睡眠する猶予を奪っているように思えた。  落ち着かない。  テレビだ。つけてなにが起こっているのか、確

          『生き延びる叫びよ』(上) ③

          『生き延びる叫びよ』(上) ②

           その札束の枚数で大体、百数万円と気がついた。  僕は、浮かれず、同時に、何か悲劇の始まりかもしれない、と思いを抱いた。間の中途半端な気持ちで無機質な万札を眺めていた。  まるでそこに存在しないかのように。確か「イージー・ライダー」では偶然手にした、大金と言えるような、言えないような、金を手にして悲劇に突っ走る。なのに、浮かれていたっけ。  なんだかそんな顛(てん)末が見えていた気がした。ぼんやりと考えていた矢先に突然、だ。  死去した父の言葉が脳裏に浮かんだ。  

          『生き延びる叫びよ』(上) ②