目から鱗 2
オリーブを摘んだり、共にあざみなどの攻撃的な草花とたたかいつつ山に登り、山羊の餌取りにいったりと、時間ごとに交流を深めていった。
次第に、叔母さんたちが大好きになった。
自然厳しい環境下で、誰に頼ることもなく自分たちの手足を動かしながらたくましく生きてる。
そこには、誰のせいにもせず、自分たちの責任で大人としての毅然とした姿と底知れぬ優しさに満ちた人間の姿があった。
ぁあ、、こんなところで幼少期を過ごしてきた彼なら、今の彼であるのも納得。
そんなふうにも感じた。
結婚の意思を徐々に固めていけたのは、彼女達との出会いが大きかった。
深く大きな愛で、すべてをみている。
その対象は人だけでなく、生きとし生けるものすべて。
生活は決して容易く無く、すべてにおいて手間暇と労力がかかっている。
しかし物言わず、客が来ると最善のもてなしをする。
にわとりをつぶし、それをクスクスに入れる。
彼女たちが普段、口にする事ができないご馳走様だ。
山羊のミルクをヨーグルトにしてくれる。
土で焼いたパンをたくさん用意してくれる。
どれもこれもとても美味しい。
トイレの時は、必ず犬を連れて、オオカミがやってこないか外で見張っててくれた。
テレビはあるが、白黒画面にザーッとした波打ちがあり、まったくみられない。
でもつけている。
彼女たちは識字が出来ない。
でも、創意工夫でなんとか理解する道をみつけ、世の中の動きを探っている。
こんな生活をしている人たちが世の中にいたんだ。。
この地に水が通ったのはなんとまだ15年も前ではない。
今も週に一度の放水が溜池にもたらされるが、その時間をみな、楽しみにしているのだ。
そんなくらいだから、シャワーを浴びるとかは水が貴重過ぎてほとんどしない。
そんなものなくても、気持ちの良い空気と、彼女たちとの時間は、最高だな、、と感じていた。
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