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展覧会がもっと面白くなるかも?な ちょっとしたコツ 現地編

美術館・博物館で、ギャラリーに出かけて、みんな何を思って鑑賞してるんだろう、どんな風に過ごしてるんだろう、いつも決まってしていることってあるのかな?

ふと思ったそんな疑問から、気づけば月20件前後・年間200件ほど美術館・博物館やギャラリーに足を運ぶほど展覧会好きなわたしが、一体 何をどうして過ごしているのか、を、大変僭越ながらご紹介しつつ、展覧会がより面白くなるかも?な ちょっとしたコツを探ってみたシリーズ。

前回の準備編は、こんな話についてまとめました。
・行くかどうかの判断基準
・移動中にしていること
・持ち物


今回は 現地編。つまり 展示室内でのコツ がテーマです。
まとめてみたらどちらかというと、ギャラリーよりも、美術館・博物館で活用できるコツが中心になりました。

あーこうしたら観に行く時間とチケット代のモトがとれそうなのね、みたいなヒントに、
もしくは、あーこんな軽い感じで観に行くんでもいいのかーと、美術館・博物館、そしてギャラリーへ出かけるきっかけにしてもらえたら、とても嬉しいです。


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① 入口でもらえる「出品リスト」で 全体をさらっと把握しよう


これは、自分の体力と鑑賞する時間を上手に配分して、最後まで元気に展示を楽しむため、のひと工夫です。
仕事と似てるかもしれません、まず全体像を把握し、課題やToDoを細分化して、という感じ、でしょうか。

展覧会、と、ひとくちに言っても、展示の構成(章立ての流れ)や、展示されている作品や資料の数って、本当に千差万別。

ざっくりした個人的な経験ですが、例えば都内の美術館・博物館で行われる企画展や特別展だと、だいたい80~120点程度でしょうか。
コレクション展でも、国立西洋美術館や東京国立近代美術館、東京都現代美術館などの大規模な館では、同様のボリュームくらい展示されています。

なかなかの数ですよね。
最初から最後までじっくり観たくても、どうしたって疲れます。

さらに、ミュージアムの規模や企画テーマによっては、150点以上(!)とか、とにかく大ボリューム・盛りだくさん!ということも。
それはそれで、必要だからその展示数だし、とても貴重な機会、っていうことでもあるんです。ですけど、大変ですよね。

だからこそまずは「出品リスト」で、全部で何点くらいあるの?何をどう展示しているの?といったことだけでいいので、ざーっくり全体像をとらえてみてください。

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ちなみに・・・そもそも「出品リスト」ってなに?


展示している作品のタイトル、作家名、素材や技法、作品のサイズ、所蔵しているミュージアムの名前、などなど、さまざまな文字情報が一覧になっている資料です。

展示室の入り口に、印刷された紙の状態でどさっと置かれていて、鑑賞者は無料でもらえます。
だいたい、A3両面印刷で二つ折り。展示点数が多いと+2ページとか、冊子になることも。少ないとA4両面のみってこともあります。

紙だけでなく、美術館・博物館のホームページ内、展覧会を紹介するページに、PDFデータで公開されていることも多いです。

また、だいたいの展覧会は、書籍などと同様、章立てで構成されているので、出品リストにも、章立てで順に記載されています。
また、展示作品や資料一つひとつに、通し番号がふられてます。

ただし、文字サイズがたいていとても小さいので、決して読みやすいものではないかも・・・。PDFなら拡大表示できるんですけどね。


例えば、東京都現代美術館のMOTコレクション展の出品リストはこちら。こちらは、わりと文字が細かめで情報多めの出品リストです。

リンクは、下記、コレクション展の紹介ページに設定されています。


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ちなみに・・・展示されたものって 最初から順番に観ていった方がいいの?


これは、展示の企画とか、内容によるかなぁ、と。

そもそも、企画された学芸員の方々は、ものすごーく考えて、明確な意図のもとで、展示順を決めてます。
それもふまえつつ、わたしは、時系列に観たほうが理解しやすい展示のときは、順番に沿って観ます。例えば、作家の生い立ちから人生をたどっていく企画、とか、時代の流れと共に、作風や美術の流れ、変遷をたどる企画、とか。

でも、臨機応変に、空いているところから観る、ってことも、よくしています。
例えば、章立ては順番で観た方が良さそうだけど、各章ごとだと関係なさそうな場合。
とある作品や特定のエリアだけはちょっと今 混んでるけど、その数メートル先は人が全然いない、みたいなことって、わりとよく発生してるので、混んでるところは一旦スキップして、空いた頃に観る、とかとか。

そして、ときどき起こる、展示ケースの前でちょっと行列っぽくなってしまっている場合。
混雑している展覧会や、浮世絵とか刀とか、ジュエリーの展示などでも起こりがちですが・・・。
展示されているものを間近でじっくり確認したいとき、並んでも観たいときはちゃんと並びます。これも臨機応変ですねぇ。

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② 文字情報は 読まなくても良し・読んでも良し


作品名などが書かれた、作品のすぐ横に貼られた小さなパネルや、展示室の最初や途中の壁に貼られている、文章が書かれた大きめのパネル、みかけたことないですか?
あれが、キャプション と呼ばれる、さまざまな文字情報です。

もちろん、しっかり読んだ方が、へー!って思うことも多いですし、作品や展示資料への理解も深まるでしょう。

でもわたしは展示室ではまず、作品や展示資料そのものを観てほしいなぁ、と思います。
せっかく現地に足を運んだなら、その場に行って体感しないとわからないことを、ぜひ味わってほしいな、と。

今の時代、あらゆるものが、おそらく画像検索で探せてしまえます。有名な作品や資料であればあるほど、簡単です。

でも、展覧会のためにつくられた展示空間を含め、作品や展示資料のサイズや質感、細かなディテール、横からや裏側からの様子、それらがまとっている雰囲気などなど、やっぱりリアルでないと感じ取れないこと、わからないことって、たくさんあると思うんです。
(メタバース全盛の世界になれば、なおさら相対的に、リアルの価値や希少性が高まるだろうとも思っています。)

加えてわたしは、文字情報から先入観を持ってしまうことも、なんだかつまらないな、と思い、何はともあれ、作品や展示資料そのものを、まずはじっくり観るようにしています。

ついつい最初に、作家名や作品のタイトル、制作された年、素材、解説文などを読みたくなってしまうんですけど、

え?これは何をどうして こうなってる? とか、
わー!きれー!この場所に行ってみたい! とか、
これって何だろう? 犬かな? とか、
版画かな?水彩画かな? とか、
やたらツヤツヤしてるけど 良い絵の具を使ってたのかな?とか、
これは完成するの大変だったろうなぁ とか
え、なんでこのサイズ?大きすぎじゃない?家広いんだなぁ、とか
あの作家のあの作品っぽいなぁ  とかとか

あれこれ想像をめぐらせたりすることを楽しんでいます。


たまに、文字情報は出品リストにまとめてあって、展示室には極力掲出してない、という展示も見かけますが、そもそも 文字情報を全部 読むって・・・疲れませんか w

わたしは、作品や展示資料をじーっと観て考えて、キャプションを読み、メモして、展示室全体的の造作や額縁や照明なども観て…という 盛りだくさんの鑑賞スタイルなもので、結果的に時間がかかるし、展覧会を観るって本当に体力がいるな・・・、と、毎回しみじみ思います。
(なので、耳で聴きながら鑑賞できる「音声ガイド」があるんですよね)

文字情報をじっくりちゃんと読みたい、と思った企画のときは、展示室に置かれた図録のサンプルを読んだり、図録を買って帰ったり、となる場合が多いです。


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③ 作品は 全部をちゃんと観なくても良し・観ても良し


皆さまも、どこかで小耳にはさんだことがあるかもしれませんが、最後はこれです。むしろこれが肝かもしれません。
展示されている全てを、ちゃんと観なければ!と思わなくても、全く問題ないんですよ。

とはいえ、ポスターやフライヤーに掲載されている、これが今回の見どころ!一番観てほしい!という作品や展示資料は、やっぱりしかと観ておきたいところですよね。
例えば、トーハクで行われていた「空也上人と六波羅蜜寺」展なら、口から仏さまが出ている 空也上人の像、とか。


でも、それ以上に大事なのでは?とわたしが思うは、自分がいいなぁ 好きだなぁ なんか気になるなぁ と思える作品や展示資料を、しっかり観る・体感すること。

見どころ、として提示されたもののように、歴史的に重要とされていたり貴重だったり、権威ある誰かのお墨付きを得ていたり、とても価値が高いとされていたりするものを、実物を観て知る・体感するって、とても大切です。

それと同じくらい、自分はこれがいい、これがすごいと思う、という感覚や、驚き、心揺さぶられる体験を、展示室で味わってほしいなぁと。

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そして最後に  最大のコツを!


あの展覧会、あのギャラリー、ちょっと行ってみようかなぁ~ と思い立ってから、足を運び、体感して思ったこと・考えたこと、いろいろあったでしょう。
なんかイマイチだったな、ということもあるかもしれませんし、本当に本当に行って良かったな、ということもあるでしょう。

ぜひぜび、その一連の話を、感覚や体験を、誰かとシェアしてみてください。家族でも同僚でも、知り合いでも友達でも、SNSでも、noteでも。

本当に当たり前のことですが、誰かとシェアしてみると、物事の捉え方や見え方、心に響くポイントって、びっくりするくらいに、人それぞれなんだな、ということが、よーくわかります。それが面白んですよね。

作品の見方も、作家への興味関心の度合いも、人それぞれ。
思ったことも、感じたことも、人それぞれ。
どれも正解で、どれも最高。
これこそが、アートの楽しさ、だな、とわたしは思います。



そして、そういえばあれってなぜあのモチーフ? 描かれた当時の世の中ってどんな? どうして作家はそうなった? などなど、疑問や気になること、もっと知りたいと思うことが出てきたら、展覧会の図録や作家に関する本などで調べてみてください。

地味に使えるのが 中学や高校の歴史や国語の資料集や参考書。用語解説も含め、情報が的確にまとまってます。実はわたしも最近、高校の教科書や参考書類がまとめて出てきて、改めて読んで、これ使える!と驚きました。

あれこれ展覧会を観ていくうちに、
これ、歴史がわかったらもっと面白いんでは?
哲学や宗教のこと、民族や文化的な背景、ギリシヤ神話や聖書のことが知りたいなぁ  気になるなぁ となってきたときこそ、学び直しの絶好のタイミング  です。

知っておかなきゃ!とか、すぐわかる!よりも、気になるなぁ 知りたいなぁ  から始まったほうが  文化芸術やリベラルアーツの学びは がぜん楽しいですよ✨


ということで、そろそろ展覧会に出かけてみませんか???

ふむふむ、へーそうなのかー!って思っていただけたら、下の方にある♥マークをポチっていただけるととても嬉しいです。noteアカウントがなくてもポチれたり、ツイート&シェアできます。


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